大竹しのぶ『まあいいか』(朝日新聞出版)
安保法制、特定秘密保護法、TPP、カジノ法など数々の強行採決という暴挙を繰り返している安倍政権だが、4月12日、衆院厚生労働委員会での介護保険関連法案改正案(以下介護保険法)の強行採決もまた唖然とするものだった。本サイトでも既報のとおり、委員会において民進党の柚木道義議員が森友学園問題について質問したのに対し、自民党が逆ギレし突然一方的に審議を打ち切り、14日に予定されていた採決を勝手に前倒し強行してしまったからだ。
自分に都合の悪い質問に対し答弁を拒否、質問とは関係ない法案を強行採決する。それ自体民主主義国家とは到底思えない許されない暴挙だが、その審議対象だった介護保険法改正案の中身も、自己負担率をさらに引き上げるという高齢者そして弱者切り捨てとしか思えない問題法案だ。
そんな中、女優の大竹しのぶが介護保険法案に対しこう疑問を呈したのだ。
〈介護保険法がまた改正されようとしている。一定の所得以上の人だが、自己負担が2割から3割になるという。負担が増えると、デイサービスの回数を減らしたり、家族に負担が行ったりするのではないか。この高齢化社会の中、国にお金がなくなってゆくのは分かるが、違うところにお金が回ってはいないだろうか〉
これは朝日新聞での連載エッセイ「まあいいか」の4月21日夕刊に掲載されたものだが、大竹の疑問はもっともなものだ。今回の介護保険法改正では、大竹の言うように、年収が340万円以上ある高齢者がサービスを利用した際の自己負担率を2割から割に引き上げるというもの。民進、共産など野党はこれに反対したが、18日の衆院本会議でも自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決され、今国会で成立することは決定的だ。