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西中誠一郎インタビュー

今村復興大臣を激高させた“フリージャーナリスト”が安倍政権の原発被災者切り捨てとバッシングへの思いを激白!

――そうした弱者をバッシングする空気は日本に蔓延しています。また今回ネットでは大臣に逆らったとして西中さんへのバッシングも起こりましたが、そんな風潮についてどう思われていますか?

西中 4月4日の記者会見以降、連日大変慌ただしい状態で、メールやSNSは一部しか読むことができません。「今村復興大臣の辞任を求める署名活動」も始まり、わずか1日で28000筆を超える署名が集まり、抗議活動や署名提出、記者会見などが相次いで行われました。ですから自分に対するバッシングには気を止める余裕がないのが現状です。
 弱者バッシングということで、この10数年関わってきた取材の中で最初に思い出したのは、2008年から2009年にかけて起った、長期非正規滞在で法務大臣に在留特別許可を求めていたフィリピン人家族に対する「ネトウヨ」と言われる人々の誹謗中傷やヘイトスピーチでした。
 私は東日本大震災以前は、入管難民問題や外国人労働者問題、「治安テロ対策」の名目で行われていた在日ムスリムや難民申請者に対する警察の違法捜査と人権侵害、朝鮮学校の高校無償化排除問題などの取材や支援活動に長らく関わっていました。
 いずれにも共通するのが、行政機関による差別的な政策が行われる中で、深刻な人権侵害が起き、それに追随するように民間のバッシングが沸き起こるという図式です。在留特別許可を求めていたフィリピン人家族のケースもそうでした。オーバーステイが違法であることは確かですが、1980年90年代に来日し、経済産業界の労働力不足を補っていたのは、紛れもなく非正規滞在の外国人労働者でした。
 しかし日本政府は極めて狭い範囲でしか、外国人労働者の在留資格を認めていないので、多くの外国人が非正規滞在のままで在留年数が長期間し、結婚し子どもが生まれ、生活基盤を日本の地域社会に形成してきました。しかし景気が悪くなると、入管は取り締まりを強化し、このフィリピン人家族も父親が入管に収容され、最終的には、日本で生まれ当時中学1年だった娘だけが在留許可され、父母はフィリピンに帰国するという選択肢を選ばざるを得ませんでした。こういう家族は実は多いのですが、このケースは大きくマスコミ報道され、家族分離の強制送還に反対し家族での在留許可を求める声と、入管周辺や家族が在住する地域でのヘイトデモなどが入り交じり、注目されました。
 しかしこの家族に対するバッシングやヘイトデモが横行したきっかけになったのは、2003年秋に東京都と法務省、東京入管、警視庁が合同で立ち上げた「当時約30万人いた不法滞在外国人を、5年間で半減させる」という「不法滞在外国人半減キャンペーン」だったと思います。「治安テロ対策」の名目で「外国人犯罪の増加」の情報操作を行政機関自ら行い摘発や強制送還を大強化する。そのお墨付きに便乗するような形で、「不良外国人は出て行け!」というヘイトスピーチが始まりました。
 こうした傾向が、日本政府の植民地政策・戦争責任を拒否する傾向が強い第二次安倍政権発足以降激しくなり、在日朝鮮人や朝鮮学校、沖縄米軍基地建設への市民の抗議活動などに対する「ヘイトスピーチ問題」に繋がっていると思います。

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