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西中誠一郎インタビュー

今村復興大臣を激高させた“フリージャーナリスト”が安倍政権の原発被災者切り捨てとバッシングへの思いを激白!

――そうした問題は、たしかにテレビや新聞などでもほとんど取り上げられていませんね。

西中 最近の会見録を見ても、原発事故の自主避難者が直面する問題を質問する記者は少なかったと思います。しかし、3月14日の記者会見で突っ込んだやり取りがあったので、問題がうやむやにならないように、避難者の生活再建の命綱である住宅問題について、国の責任を明確にしておきたかったのです。
 また3月17日、前橋地裁が原発事故の原因を東電と国の責任による人災と認め、一部の避難者に対して不十分ながら損害賠償を命じた判決がでました。現在、同様の住民集団訴訟が全国30 カ所近くで起きています。今後様々な判決が各地で出ると思いますが、原発事故で「国の責任はありません」では済まされません。
 そもそも復興庁がなぜできたのか。それは東日本大震災と、福島第一原発事故があったからです。しかし、東京オリンピックが開催される2020年までの設置期限が設けられています。震災と原発事故からわずか9年でなくなる。オリンピックまでに、「原発事故被害者はいなくなりました」と現政権は言いたいのではないかと勘ぐりたくなります。

――これまで自主避難を始め、原発事故を取材してきた西中さんにとって、そもそも今回の自主避難と住宅提供の打ち切り問題をどう見ているのでしょう。

西中 住宅無償提供の打ち切りが発表されてから2年間、避難者や支援団体と、政府や福島県との交渉や院内集会に何回も参加しましたが、大きくマスコミ報道される機会が少ない中で、3月末を迎えてしまいました。そして国は住宅対策の責任を、福島県と避難者の受け入れ先自治体に丸投げしてしまいました。
 今回の今村大臣の記者会見での発言でも、「身近な親元である福島県が事情を一番良く知っているので、国はそのサポートをしっかりする」という発言がありましたが、「親元」って一体何なのですかね? 「避難者は、県と国が作ったルールに従え!」という上からの強制力にしか聞こえません。原発事故を起こした責任がある国が、被害を受けた福島県に責任を押しつけ、帰還しなければ、被害者である避難者が「自己責任」で住宅を確保しろというのは、どう考えてもおかしいです。本来なら、福島県は避難者の側に立って、国に対して抗議すべきだと思います。
 大臣の「自己責任」という発言も、“帰還ありき”という姿勢から出てきたことは明白です。「自主避難は勝手にやったこと、わがままだ」と大臣は言わんばかりです。最近しばしば報道されるようになった、避難先での子どものいじめ問題も、こうした国の避難者への対応の現れだと思います。
 住宅無償提供の打ち切りが迫る中で、生活に困窮する避難世帯が増えてきていると聞きます。子どもの低線量被ばくや内部被ばくを避けるため、母子避難している世帯も多いわけですが、数年前まで院内集会などに出席して積極的に発言していたお母さんが、最近どんどん減ってきているように感じます。長期間の避難生活で、経済的にも精神的にも逼迫しやむを得ず福島県内に戻られたご家庭もあるでしょうが、離婚はじめ様々な事情で帰る場所すら失い、自らSOS を発信する余裕すらない。追いつめられた家族が増えているのではないかと懸念しています。

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