当然、政府による“映画の国策化”に対しては、当の映画人たちからも批判が殺到した。たとえば「観察映画」で知られる想田和弘監督は、ツイッターで〈戦時中の国策プロパガンダ映画を思い出す。つまらない映画にしかならないことは確実だが、映画を馬鹿にするんじゃないよ。映画は政治の道具ではない〉と怒りを表明している。
想田監督の言うとおりだろう。結局のところ、安倍政権による「明治期の国づくり」を題材にした作品の支援方針は、“愛国ポルノ”をどんどんつくれと言っているに等しい。それこそ『海賊とよばれた男』や『永遠の0』のような自己慰撫型の歴史モノは、日本の戦争犯罪や加害性を巧妙に書き換えて隠匿することで成り立っているが、まさに、戦前・戦中の日本で戦意高揚のプロパガンダ映画が量産された状況が、今後、安倍政権下で再生されることになるのだ。
そういえば、鈴木亮平も18年NHK大河ドラマ『西郷どん』の主演が決定している。おそらく例の会合でも、安倍首相はそこに引っ掛けて、大好きな明治維新(とりわけ長州)の話を思う存分したことだろう。
吉田松陰か高杉晋作か伊藤博文か、はたまた乃木希典で日露戦争モノかは知らないが、「主演・岡田准一」で明治を舞台にした“愛国ポルノ”が製作される日も近いということか。あまりにグロテスクだ。
(宮島みつや)
最終更新:2017.11.20 06:31