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山田孝之が「ウシジマくん」の役に乗っ取られた!? インタビューで「努力は格差で埋まる」「闇金の客はバカ」と自己責任論連発

 若者が仕事に就けない、仕事があったとしても非正規でしか働けない。こうした問題を解決するための責任を追うのは、無論、若者でも非正規雇用者でもなく、〈何よりもまず産業(企業)と国家(政治)〉にある。20世紀初頭にイギリスの社会保障制度づくりを主導したL.T.ホブハウスの理論でいえば、〈まっとうな仕事と賃金を保障するのは社会的・公的責任であり、失業や低賃金による生活困難は、企業や国家の「社会的責任」において解決すべきもの〉なのだ。

 だが、新自由主義(ネオリベラリズム)はこれを許さない。たとえば、「社会などというものは存在しない」と言い放ち、福祉国家を解体しようとしたのは、安倍晋三首相も信奉するイギリスのサッチャー元首相。福祉や保障に頼るな、家族で助け合って生活しろ、国家や企業にたてつく運動などあってはならない。その考え方は、社会を否定し、社会と個人を切り離し、個人にすべての責任を押しつけるものだ。言うまでもなく、この流れは現在の安倍政権においても強く共有されている。山田孝之が語った「努力で格差は埋まる」という考え方は、この危険な流れに丸乗りし、富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなっていく世界をつくることに加担してしまうことになる。

 それにしても、山田孝之といえば、『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京)のようなコメディから『凶悪』のような実録物の社会派映画まで幅広く演じるのみならず、近年では自ら作品のプロデュース業なども手がけるなど、メインストリームから外れた人間にも寄り添う目線をもった俳優である。そんな彼がなぜこんな発言をしたのだろうか。

 もしかしたら、「格差は努力で埋まる」との無慈悲で無理解な発言は、山田が、憑依型の俳優であることと無関係ではないのかもしれない。

 山田が主演を務める実写『闇金ウシジマくん』シリーズが始まったのは、いまから6年前にさかのぼるが、当時のインタビューで彼は、典型的な悪役である丑嶋馨役を敢えて引き受けた理由を、この作品がドラマ化されることで闇金被害に遭う弱者を減らすことができるかもしれないと語っているのだ。

「利息がトゴ(10日で5割)って、超暴利過ぎるでしょ。でも実際にこういうエグい世界がある以上、目を背けるワケにはいかない。誰かが演じて闇金の怖さを伝える必要があるんじゃないかって」
「演じる方も見る方もしんどいけど、それでいいんじゃないかって思う。エンターテインメントとしても、救いのないドラマがあってもいいんじゃないかって。後味悪いけど、そっち(闇金)に行く人がいなくなればいいんだから、ね(苦笑)」(「ザテレビジョン」10年9月24日・10月1日合併号/KADOKAWA)

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