〈Aは警察の内偵捜査をくぐり抜けるため、かつては池袋で『D』という屋号で、次に新宿で『E』、そして大久保で『A』と、店の場所と屋号を3ヶ月ごとに変えていたのだ。
一定期間で所在地を転々とするのはまんま、違法カジノ店が使う手口だ。こうして地下に潜り続けていた『A』は、当時も今も摘発されていない〉
この店に潜入取材している最中、隣の部屋からは「ドン、ドン」と間仕切りの衝立てに身体が当たる音が響いていたと書かれているが、そこで何が行われていたのかは推して知るべしである。
さらにもうひとつ進行しているのが、店舗ではなく派遣型風俗のように「デリバリー化」させることだ。家やホテルに派遣されるこの業態を選択した時点で暗にそういった売春を推奨しているようなものである。締め付けを強くしていった結果、少女たちはより危険な労働環境に身を置かれ始めている。
〈働く少女らのブログには「学校帰りに自前の制服で行きます」など、アンダー(18歳以下の現役女子高生)を匂わせる記述も見られた。事情通によれば、こうした派遣型JKリフレには多数、アンダーが潜り込んでいるという。
「もちろんデリバリー型のJKリフレにも注視しているが…。派遣型になると捜査に時間がかかるため、摘発が難しい」
捜査関係者は巧妙化するJKビジネス店に地団駄を踏む〉
しかし、なぜこんなイタチごっこを続けながらも、JKビジネス関係者は女子高生を使ったグレーな風俗産業に固執するのであろうか? それはこのビジネスにそれだけ旨みがあるからである。本書のなかでJKビジネス経営者はこう証言している。
「コミュ店は受付と女のコの控え室、それに客を入れる半個室のトークルームを作るだけと、形態がシンプル。だから破格の開業資金でできると踏んだのです。詳しい内訳は言えませんが内装、店舗の取得費、宣伝費などもろもろ併せても300万円弱と、驚くほど安かった」
開業費用がこれだけ安く済むのは、普通の風俗店では最もお金を割かなくてはならない宣伝費にほとんどお金がかからないからである。
〈かかるのは店舗の取得費用や内装費だけ。店舗型ビジネスのキモである広告宣伝費は皆無に等しい。JK好きなマニアは相当数おり、ネットや雑誌で宣伝せずとも大手掲示板に「こんな店を発見したんだけど」と書き込むだけでマニアが集まって来るのだ〉