しかし実際のところ、稲田防衛相はジュバで自衛隊員から「この辺で戦闘が起きたというところです」と説明を受けていたのだ。ようは、その耳で直接「戦闘」と聞いておきながら「衝突」と言い換えていたのである。これが、自衛隊員の命を預かる大臣のやることなのか。
しかも、この「駆けつけ警護」はもっと恐ろしい事態を引き起こす可能性がある。7月、実際に自衛隊による「駆けつけ警護」のモデルケースとなる事件がジュバで発生している。ホテルに泊まっていたNGO関係者が襲撃を受けたのだ。だが、その現実は、あきらかに安倍政権の想定を超えたものだった。
15日放送の『報道特集』(TBS)が、ホテルに宿泊していたNGO職員ら3名へのインタビューを報じた。そこで繰り広げられていたのは、政府軍による略奪、殺人、そしてレイプ。『報道特集』の取材に対し、匿名かつ音声を使わない条件で応じたNGO女性職員は、このように語っている。
「兵士がひとつの部屋に入るよう私に指示しました。部屋に入るとそこには数人の兵士がいました。私は『お願いです、やめてください。お願いです』と懇願しました。すると思いっきり殴られ床に押し倒されたんです。そして、首を拳で殴られました。私は息ができなくなりました。その部屋で、3人の兵士にレイプされたのです」
そして、レイプされた後、兵士の指示で下の階段に降りると、殺害された地元NGO職員の遺体が転がっていたという。この地元NGO職員は、政府軍と対立する反政府軍の部族出身という理由で、政府軍兵士に射殺されたのだ。
「私は自分も殺されるんだと思いました。そこに別の兵士がやってきたのです。そして私を部屋の中に押し込みました。その部屋には友だちの外国人女性がいました。彼女もレイプされていたのです。私も床に押し倒されました。そのとき彼女と目があいました。言葉は交わさなくても『殺されないためには抵抗したら駄目』とお互いに理解し合いました。私はその後、さらに2人の兵士にレイプされたのです。最後の兵士は部屋を出て行くときに殺虫剤を私の顔に吹きかけました。口笛を吹きながら。私は息ができなくなり、その場に嘔吐しました」
こうした兵士によるレイプ被害や略奪は、現地の一般市民も数多く被害にあっているという。安倍政権は「南スーダンは落ち着いている」と言い張るが、現実は真逆で、凄惨というほかない、完全に戦争状態そのものなのだ。