しかし、実際にはそんな心配はご無用だろう。なにしろ今回の女性社員のお相手は超大物の“作家センセイ”だからだ。
出版界において作家の威力は絶大だ。作品がベストセラーになれば自社の利益に直結する大切な存在であるのはもちろん、雑誌のコラムやエッセイ執筆、インタビューなどで付き合いも深い。そのため、作家の批判やスキャンダルは絶対的なタブーになっている。
芸能人のスキャンダルを書きまくっている週刊誌も、作家に対してはどんなスキャンダルが浮上しても沈黙を決め込むどころか、逆に作家の意を受けて記事を潰すなど不祥事隠しに加担することもあるほどだ。
浦沢直樹は小説家でなく漫画家だが、それでも大ベストセラーを連発する“大作家”だ。今回、不倫を報じた主婦と生活社は小説や漫画をメインとしていないため、こうした報道が可能だったのだろうが、しかし他の出版社が追随する可能性は極めて低い。
この作家タブーについては、自身も売れっ子作家である林真理子が「週刊文春」誌上でこう指摘していた。
〈この頃有名人に会うたび、よく聞かれる。
「どうしたら、センテンス・スプリングに書かれないようになりますかね?」
「ひとつだけありますよ」
私は答える。
「センテンス・スプリングの執筆者になることですね」〉(同誌4月7日号、連載コラム「夜ふけのなわとび」)
本サイトは、ベッキー騒動でも何度も繰り返してきたように、「不倫」を道徳的に糾弾する趣味はまったくない。しかし、相手が大物作家だからといってその事実すら報道されないという状況はいくらなんでも不公平すぎると考え、あえて記事にした。
しかし、ネットがいくら騒いでも、雑誌やワイドショーが取り上げない以上、たいした話にはならないはずだ。
そして、文藝春秋を襲ったまさかの不倫騒動も、このまま出版業界の内輪ネタとして関係者の間だけの話題となってしまうのだろう。
(時田章広)
最終更新:2017.11.24 07:28