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天皇の生前退位問題で安倍政権の改憲利用が始まった! 内閣法制局が「第1条改憲必要」デマを日テレにリーク

 つまり、第1条は、国民が個々の天皇の廃立を都度選択せねばならないという意味ではなく、憲法の上で現天皇制という“機能”が主権者たる国民の下位に位置することを示す規定なのである(だからこそ第1条は前文の国民主権を明記した条文であると言われる)。

 また、第3条や第6条等を踏まえれば、その上下関係は上から国民、国会、内閣、天皇となる。言い換えれば、現天皇制の存続については第1条を主たる根拠として、「国民の総意」により(この場合は当然、国民投票を経た憲法改正をとる必要がある)変更・廃止することができるが、一方、個々の天皇の廃立に関しては世襲制と皇室典範への依拠を規定する第2条の範疇なのである。

 そして、今回の「生前退位」のケースを考えると、第2条前半《皇位は、世襲のものであって》に関しては今上天皇の退位後に皇太子が自動的に即位することによって合憲が明白であるから、後半《国会の議決した皇室典範の定めるところにより》のみが問題となる。結局のところ、皇室典範改正の問題に収斂する。

 歴代政府もこの見解を踏襲してきた。たとえば、1978年には、他ならぬ当時の真田秀夫内閣法制局長官が、天皇の退位や譲位に関してこう答弁している。

「もちろん、学説の中には、退位は憲法上できないんだという説もないこともないのですけれども、通説としては、憲法上その退位ができるかできないかは、法律である皇室典範の規定に譲っているというふうに言われておりますから、おっしゃるとおり皇室典範の改正が必要だということに相なります」(78年3月16日参院予算委)

 結論として、「生前退位」は憲法第1条に直接的に関与しない。繰り返しになるが、皇室典範を法改正することで可能となる。改憲は不要である。


■「生前退位」を第1条違反とする真の目的

 ではなぜ、件の「政府関係者」は「生前退位」を第1条違反とする解釈を内閣法制局が打ち出している、とするのか。順序立てて考えれば、その狙いが見えてくる。

 第一、今回の「生前退位」をめぐり、天皇自らが「国民の理解を得られることを、切に願っています」(「お気持ち」ビデオメッセージ)と愁訴したこと自体が異常事態だった。周知の通り、憲法第4条では《天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない》と規定されているからだ。いわゆる天皇の政治的発言の禁止も、これが根拠となっている。

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