安倍晋三公式サイトより
■天皇「生前退位」の政治利用に本腰を入れ始めた安倍政権
天皇の「生前退位」を改憲に利用しようという安倍政権の動きが、いよいよ本格化してきた。8月22日、日本テレビが「政府関係者」の話として、内閣法制局が将来にわたって「生前退位」を可能にするためには「憲法改正が必要」と指摘していると報じたのだ。
これまで本サイトは、政府は「生前退位」を認める代わりに改憲につなげようとするのではないかと危惧してきた。たとえば、産経新聞が8月に実施した世論調査では、〈今後、天皇の「生前退位」が可能となるように、憲法を改正してもよいと思いますか、思いませんか〉なるデタラメな質問を用いる“世論操作”を行っていた(過去記事参照)。さすがにこれは一部の改憲派が前のめりになっているだけという可能性もあったが、今回の日テレの報道では内閣法制局まで持ち出してきたところを見ると、安倍政権はかなり本気でこのプランを考えているのだろう。アドバルーンであることは明らかだ。
だが、何度でも確認しておくが、「生前退位」を可能にするためには、皇位継承等を定めた皇室典範の内容を変更するだけで十分だ。そして、皇室典範は一般法だ。国会の審議と採決を経て法改正すればよく、その上位法である憲法を変更する必要は皆無である。この“「生前退位」合憲論”は何も本サイトだけが主張していることではなく、憲法学者をはじめ多数の専門家が指摘していることだ。政権が仕掛ける政治利用デマに、国民は決して騙されてはいけない。
ただし、この日テレ報道が真に恐ろしいのは、単に大マスコミが憲法デマを垂れ流したということではない。実に、政権が狙いを定めているのは、ほかならぬ大日本帝国憲法(明治憲法)から現憲法への抜本的変更を表している第1条だったことがわかったからだ。