前述のラジオ番組では、大本営発表をめぐる講義が行われた後、宇多丸氏による「昔はそうだったんでしょうって思う人いるかもしれませんけど」という警鐘に続け、辻田氏はこう語った。
「大本営はもう残っていませんし、日本にも一応軍隊はないということになっていますけれども、メディアっていうのと政治権力みたいなのが結びつくっていうのは別に今でもありうる話ですよね。それこそ中国とかはやっているわけです。いわゆるメディアコントロールみたいなものをやっていて。日本でも法律を変えたり憲法を変えたりしてメディアを政府がコントロールできるという状態になってしまえば、もしかしたら同じような状態になりかねないという問題は考えた方がいいかと。(中略)これは結局終わった話ではなくてですね、世界で行われているし、日本ももしかしたらそれに近い状態になっているかもしれない。これは煽っている話ではなくってですね、今のうちにやっておかないと、いったんメディアと政治権力がくっついてしまうとですね、もう分からないわけです。我々はもう情報をコントロールされているわけですから。で、インターネットも中国みたいに検閲できるわけですから。いったんそうなると遅いわけですよ、戻れなくなってしまうわけです。だから、いまのうちに、たとえ杞憂であったとしてもですね、いまのうちからいろいろ注意しておくということがすごく大切で。特に今だと「マスゴミ」批判みたいなものを言う人もいるわけですね、もちろんマスコミに問題があることは事実なんですが、マスコミにはやっぱり政治権力をチェックするという重要な役割があるので、これ自体をなくしてしまうと本当に大本営発表になってしまうわけですよね。なので、我々もメディアを批判するなかでもですね、ちゃんとチェックさせて、育てていくという感覚でやらないとですね、単に潰してなくしてしまえという感覚になってしまうとですね、本当にそれこそ大本営発表のようなことになりかねない。そういう危機感はですね、もっておいた方がいいのかなと思います」
現在のメディアはもうすでに権力のチェック機能を放棄しつつある。辻田氏が主張している通り、このまま権力とメディアの一体化が進み、それが完成してしまってからではもう全てが遅い。そうなってしまう前に、 政権とメディアに対してもっと強い抗議の声をあげる必要があるだろう。
(新田 樹)
最終更新:2017.11.12 03:02