たとえば前述した日本会議の研究本では、椛島氏、伊藤氏、百地氏らがかつて宗教法人「生長の家」の学生部としてカルトな民族派学生運動を展開していたことや、日本会議の役員には神社本庁や佛所護念会、モラロジー研究所など宗教団体の幹部が多く名を連ね、宗教右派が結集していることなどを記している。また、本サイトはその目指しているものが改憲だけでなく、教育観や家族観も含めた完全な戦前復古であり、徴兵制なども視野に入れていることを指摘してきた。
しかし、今回、日本会議を特集した3つの選挙特番はいずれもこうした日本会議の右翼性やカルト性については、深く踏み込まなかった。おそらく、このへんがやはりテレビ局の限界なのだろう。選挙が終わって安倍自民党を支える極右団体の存在にようやく触れたが、政権からにらまれるような批判はできない、そういう自主規制のにおいがただよっていた。
実際、ある在京キー局の選挙特番は、日本会議の勧誘の実態を物語る音声データを入手し、直前まで放送を予定しながら、突然それを中止していた。
この放送予定だった音声データというのは、他でもないリテラが提供したもの。今年2月、リテラのライターの携帯電話に、日本会議の事務局から有料会員の勧誘電話がかかってきていた。このライターは昨年11月、日本会議のダミー団体が主催する「今こそ憲法改正を!1万人大会」に参加しており、日本会議はこうしたダミー団体のイベント参加者の個人情報を使って片っ端から勧誘の電話をかけているようだった。
しかも、この勧誘をめぐるやりとりのなかで、日本会議の事務局職員は安倍首相を絶賛し、“お試し改憲”の戦略を自慢げに語り、さらには、なんと結婚を戸主の許可制にすべきというトンデモ主張まで展開していた。
ライターはこの会話を録音しており、リテラはそのやりとりを「日本会議から勧誘の電話がかかってきたのでやりとりを全公開!〜」というタイトルで公開。記事は大きな反響を呼んだ。
そして5ヶ月後、参院選公示日の直前になって、あるテレビ局の選挙特番ディレクターからリテラ編集部に対して、「選挙特番でその音声データを使わせてほしい」というオファーがあったのだ。
本サイトは日本会議の危険性とトンデモ思想を広く知らしめることになるなら、と提供を承諾。ディレクターとの打ち合わせも済ませ、音源の使用する箇所やテロップの内容も決定、あとは放送を待つのみといった状態になった。