青山氏は北朝鮮事情にも通じているようで、メディアでよく言及しているのだが、そのなかでこんな話をしている。
「北朝鮮の工作員っていまどれくらいいるのか、はっきりわかりませんが、僕はかつて当局者の方から、だいたいいまでも2万人前後いると考えてますと言われたことあります」(チャンネル桜『青山繁晴が答えて、答えて、答える!』2010年4月16日)
北朝鮮の工作員はいるだろうが、日本国内に2万人って! それだけいたら、何か大きな事件が起こっていてもよさそうなものだが、驚くのはまだ早い。青山氏は関西のニュース番組『スーパーニュースアンカー』14年7月9日の放送で韓国の元米軍慰安婦たちが集団提訴した問題を取り上げると、「そもそも日本の慰安婦問題は北朝鮮の工作員が操っている」と持論を展開。いわく「工作員は韓国の青瓦台や大学やメディアなどあらゆるところに入り込み、今回は朴政権に打撃を与えるために動いている」のだという。このとき青山氏は、いつものパターンで「日米の情報当局に僕、最終確認したから」と念押ししている。
慰安婦問題は北朝鮮の工作員が操っている……って、このヒトはいったい何を得意げに語っているのだろう。青山氏は従軍慰安婦問題運動を展開している韓国の市民団体「韓国挺身隊問題対策協議会」が親北朝鮮の姿勢をとっていることを番組内で指摘していたが、挺対協は運動団体のひとつにすぎない。しかも、韓国政府は操られているどころか、かなり前から、この挺対協を従北団体だとして排除する方向で動いている。1993年には挺対協の代表の夫を北朝鮮スパイの疑いで逮捕したし、2012年に挺対協が北朝鮮の慰安婦追及団体と共同声明を出した時は、罰金刑を課した。現在は韓国社会でもほとんど影響力を失っている。
それを、いまごろになって「政府要人から聞いた」「日米の政府高官によると」などと持ち出し、慰安婦問題自体が北朝鮮に操られているかのような陰謀論を展開するというのは、とても慰安婦問題の経緯を理解しているとは思えない。
青山氏のスゴイ話はまだまだある。福島原発事故後の11年6月3日にニコニコ生放送で行われた「緊急特番 これが福島原発の現場だ!」という番組では、当時の菅政権の「官邸の人間」に、青山氏は「あんた現場に行かないからだ、さっさと行けよ!」と激しく詰め寄ったと述べたが、つづけて、こんなことを言い出した。
「そのさっさと行けよと言われた側はね、菅政権側は何をしようとしたかと言うとね、僕を逮捕しようとしたんです!」
「政権側から『青山繁晴を逮捕しろ』、ないしは『してくれ』と言われたんです、と(官邸に)言われた捜査当局の側から僕に電話があって、『青山さん、政権はあなたを逮捕しようとしてますよ』って」
じゃあ、なぜ逮捕されてないのか不思議だが、さらに青山氏は、ニコニコ生放送における自身の番組『青山繁晴の地獄の果てまで生ニコニコ』11年11月8日放送で、『ぼくらの祖国』という著書の執筆中に起こった“奇妙な事件”について、このような告白を行っている。
「(原稿が)やっといったん仕上がったら、なぜか外からの、はっきり言ってウイルスで、狙ったウイルスで、この原稿が2回破壊されたということがあって。警察庁の外事情報部が関心をもったりしたこともあったんです」
ウイルスで原稿破壊(笑)。なんだか夏休みの宿題が終わらなかった小学生が「宇宙人がやってきて記憶を奪われたんだ!」と言い張っているのを見ているようなトホホ感さえ漂ってくるが、この珍発言連発の青山氏が語った驚嘆エピソードの最たるものは、安倍首相にかんするものだ。