ただ、これは単なる「昔話」などではない。桂歌丸がいまになって「笑い」の大切さを訴えかけたのは、このまま放っておけばその頃のような状況に戻ってしまいかねないという懸念があるからではないだろうか。
周知の通り、国境なき記者団が発表した「報道の自由度ランキング」で日本は72位にまで急落してしまうなど、我が国おいて「表現の自由」は急速に危ういものとなり始めている。このままいけば『笑点』においても、三遊亭円楽が得意な時事ネタ・政権揶揄のギャグがなくなるのも時間の問題だろう。
『笑点』を見ながら笑う日曜の夕方が壊される未来も、決して絵空事などではない。将来、そんな状況にならないためにも、歌丸師匠の言葉をいま改めて噛みしめたい。
(井川健二)
最終更新:2016.05.22 03:29