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百田尚樹『カエルの楽園』の「村上春樹」揶揄に新潮社が大弱り! 百田にキャラ名の変更頼むも拒否され作家タブーの板挟みに

〈登場するカエルの名前に関して、出版社から「百田さん、この名前は勘弁してもらえませんか……」と言われたのがプランタンです〉

 ここで一応注釈を入れておくと、同作の主人公は、カエル喰いのダルマガエルに土地を奪われたアマガエルで、この2匹が辿り着いたのは、ツチガエルの国「ナパージュ」。だが、そこでは凶悪なウシガエルが自分たちの土地だと主張していて──。

 お分かりの通り「ナパージュ」とはJapanの逆さ読みである。どうも百田センセイはこういう安直なネーミングがお好きなようで、権威的なカエルの「デイブレイク」(夜明け=朝日新聞)とか、嫌われ者の「ハンドレッド」(100=百田自身)なるキャラクターまで登場する。ところが、百田氏が「Hanada」6月号で言うには、「プランタン」というカエルだけは新潮社から「勘弁してください」と懇願されたというのだ。いったい、なぜか?

〈(プランタンは)物語のなかではナパージュで一番人気のある「語り屋」として登場するのですが、彼は次のようなことを言います。
「たとえ話す言葉が違っても、基本的には感情や感動を共有しあえるカエル同士なのです。領土の問題は冷静に解決すべきです。安い酒を飲んだときのように、頭に血を上らせて、粗暴にふるまうことは慎まなければなりません。またナパージュの民は、過去にウシガエルに行った非道な行為を忘れてはなりません。ウシガエルが『もういい』と言うまで謝らなければならないのです」
 このセリフとそっくりな言葉が、某新聞の一面に載ったことがあります。なぜ出版社がプランタンの名前を変えてくれと言ったのか、ここではその理由は敢えて書きません〉

 百田センセイは無駄にもったいぶっているが、「プランタン」(printemps)とはフランス語で春のこと。あきらかに作家の村上春樹がモデルだ。そして、ここで百田氏が言っている「『もういい』と言うまで謝らなければならないのです」というのも、昨年4月に共同通信が配信した春樹のインタビュー記事が元ネタ。同記事で、春樹は近年の日中韓関係について、こう語っている。

〈歴史認識の問題はすごく大事なことで、ちゃんと謝ることが大切だと僕は思う。相手国が「すっきりしたわけじゃないけれど、それだけ謝ってくれたから、わかりました、もういいでしょう」と言うまで謝るしかないんじゃないかな。謝ることは恥ずかしいことではありません。細かい事実はともかく、他国に侵略したという大筋は事実なんだから〉

 実は、この春樹のインタビューが配信されたとき、百田氏はツイッターでこう噛みついていた。

〈そんなこと言うてもノーベル賞はもらわれへんと思うよ〉
〈小説家なら、相手が「もういい」と言う人間かどうか、見抜けそうなもんだが…。それとも本音は「1000年以上謝り続けろ」と言いたいのかな〉

 ようするに、百田氏が『カエルの楽園』にプランタンを登場させ、同じようなことを喋らせたもの、完全に春樹を揶揄するためだったのだろう。

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