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極右「WiLL」になぜ右翼団体がテロを起こしたのか?「天皇をないがしろにする安倍的右派」台頭と右右対立

 そもそも、今の「WiLL」やその周辺に巣食う極右言論人には、最初から天皇に対する尊敬など微塵もないし、皇室の歴史もまったくわかっていない。たんに自分たちの歪んだ国家観や政治的野心を正当化するために、天皇や皇室を道具として利用しているにすぎない。

 実際、今回のワック襲撃事件を招いた加地、西尾両氏は対談でこんなことを語っていた。

〈日本にとって大事なのは、皇太子殿下ではなく皇室です〉〈日本が維持してきた家族主義を崩している象徴では〉(加地氏)
〈GHQに破壊された旧宮家のお役目を今こそ一日も早く復活させてもらいたい。今われわれの存じ上げている天皇家の方々が天皇家のすべてではないのですよ〉(西尾氏)

 ようするに「皇室を憂うる」を大義名分にして、実際には“伝統的家族制度”や“GHQによる破壊からの復活”などといったひとりよがりの政治的願望を吐き出しているだけなのだ。そして、自分たちの政治的野心を満たしてくれない現在の皇室、とりわけ雅子妃をあげつらい「宇宙人」などと嘲笑う。これは、天皇や皇后が護憲発言をしたとたん「天皇は在日だ」などという妄言を撒き散らしているネトウヨとほとんど変わりはないだろう。

 さらには、「WiLL」の態度は“天皇の政治利用”ですらなく、単なるマーケティングだと喝破する保守論者もいる。漫画家の小林よしのり氏が、5月6日付の自身のブログにて、西尾氏は「天皇陛下や皇室それ自体には、全然関心がない人」と批判、くだんの対談記事についてこのように分析している。

〈(かつて)西尾幹二が、雅子妃殿下をバッシングしたら、「WiLL」の読者から大受けだった、あれで調子に乗ってしまったんですね。(略)西尾幹二が雅子妃殿下バッシングをすると、皇室敬愛のふりだけしてる読者には、タブーを冒してくれたような快感が芽生えて、拍手喝采してしまったわけなんです。 困ったときの皇室バッシングで、部数が伸びますから、「週刊文春」以来の手口で、花田(紀凱)編集長も、散々やったわけです。今回はその花田が「WiLL」から出て、「HANADA」というよく似た雑誌を作って、二誌が競争する最初の号になるもんだから、「WiLL」の新編集長も、花田のお株を奪って、皇室バッシングならスキャンダラスで勝てるだろうと踏んだわけでしょう〉
〈酷いもんです。自称保守が自称でしかなく、本当は皇室を崩壊させたいという極左的な破壊衝動を持っている連中なのです。日本の伝統を壊すのは左翼ではなく、自称保守なのです〉

 いずれにしても、「愛国者」や「保守主義者」を自称する論者やメディアが実はもっとも「日本の伝統」や「皇室」をないがしろしにしているという倒錯的な状況が起きているのはまぎれもない事実だ。

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