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極右「WiLL」になぜ右翼団体がテロを起こしたのか?「天皇をないがしろにする安倍的右派」台頭と右右対立

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「WiLL」(ワック)2016年6月号

 月刊誌「WiLL」の発行元であるワックが、右翼団体関係者に“襲撃”される事件が起こった。「WiLL」といえば、毎号のようにゴリゴリの歴史修正主義、や改憲、中国・韓国人へのヘイト攻撃を繰り返している極右雑誌。最近では、創刊号から編集長を務めた花田紀凱氏がスタッフをつれて他社へ移籍するという“分裂騒動”でも話題になった。

 報道によれば、複数の右翼団体で構成する「大日本愛国団体連合時局対策協議会」の理事を名乗る男(24)が、今月5月4日、東京千代田区にあるワックの入り口の窓ガラスを割って侵入。床に黒いペンキをまいたり消火器を噴射したりした後、自ら通報し、駆け付けた警官によって現行犯逮捕された。けが人はいなかった。

 男は“襲撃”の動機として、「WiLL」6月号に掲載された記事「いま再び皇太子さまに諫言申し上げます」の「内容が不敬だと思った」と供述しているという。同記事は、大阪大学名誉教授・加地伸行氏と電気通信大学名誉教授・西尾幹二氏による対談。両者ともに右派論壇の常連として知られる。そのなかで、たとえば西尾氏はこのように雅子妃をバッシングし、皇室を批判していた。

〈皇室という空間で生活し、儀式を守ることに喜びを見出さなければならないのに、小和田家がそれをぶち壊した。(略)加えて、適応障害でうつ病なら、何をしてもいいんだよとなってしまった。(略)夢幻空間の宇宙人みたいになっています〉(西尾氏)

 念のため言っておくが、言論活動に対して暴力的手段で封殺しようとするのは、表現の自由を壊す暴挙であり、決して許されるものではない。だが、これまでも、皇族バッシングや皇室制度の問題点に関する記事、あるいは反天皇制を思わせるとして標的にされた小説の版元に対して、右翼、民族派団体関係者が襲撃し、死傷者が発生する事件もあった。こうした暴力的手段が言論の萎縮や過剰な自主規制を招き、マスコミのいわゆる“菊タブー”形成のひとつの要因になってきたことは言うまでもない。

 しかし、「WiLL」は前述したように、ゴリゴリの極右雑誌。今回の事件については「なぜ右翼が右翼にテロルを仕掛けたのだろう」と考える向きもあるかもしれない。

 だが、“右派”と位置付けられる人々の皇室に対する姿勢は、必ずしも一致しているわけではなく、むしろ、立場の衝突から襲撃事件にまで展開するケースは珍しくない。

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