日本にヒップホップを広めた立役者が「ぼっくん」と呼ばれ、さらにこんなアドバイスまでされているとは……。ただ、こんな子煩悩発言を繰り返すのを見ると、そうなるのも自然な成り行きかなと思ってしまうのであった。
〈だからやっぱ写真撮っちゃうもん。天使の瞬間はシャッターチャンスだから。「家族3人で海行きました。砂浜最高! うちの子かわいい! 何か?」(笑)〉
〈子どもができて初めてわかったけど、自分ちだけじゃなく人んちの子どももかわいく見えるようになるんですよ。だから僕ら、2人目3人目が欲しいといま思ってるけど、アンジェリーナ・ジョリーがどんどん養子をもらう気持ちがわかる。自分の子どもじゃなくても育てたいって思うから。夫婦になって区役所に行くと里親募集の資料を渡されるんですけど、岡村ちゃんはその紙もらったことないでしょ〉
〈岡村ちゃんもそうだろうけど、僕はいままでそういう多数派世界を避けてきたし、そうじゃないところで商売してきた。でも、世の中も大多数はそういう世界に属してる。それをあらためて認識したんですよ〉
〈いままでそういう世界に飛び込む勇気がなかったんだと思う。でも飛び込んでみたらやっぱ楽しい〉
丸くなってしまったなぁ、と思わずつぶやかずにはいられない発言だが、すさまじい幸せオーラが感じられる発言の数々、本人が楽しいのであれば、それはそれで結構なことである。
では、肝心の岡村ちゃんの結婚観とはどのようなものなのか? 彼はこのように語っている。
〈僕、ジョン・レノンをすごく尊敬しているんですが、ジョンってすごく幸せそうだったじゃないですか、オノ・ヨーコと結婚して。ヨーコは命の源である、ヨーコは神であるとまで崇めて。そこまで夢中になれる人がいるのはすごく素敵なことだと思うし、結婚って素晴らしいものなんだなって、彼を見ているとよくそう思うんですね。(中略)
だから、尊敬できる人、イマジネーション、インスピレーションの源になるような人がみつかるといいなと思ってるんです〉
メチャメチャ高い伴侶選びのハードルである。さらに、彼はこんな結婚観も語る。
〈でも僕は、クリエイティビティと結婚生活は相いれないものに感じてしまうんです。まず、結婚の相手は刺激を受ける相手じゃないと面白くないだろうし、刺激的な相手だとしても、僕自身が集中してアイデアを思いつくための自分だけの時間は必要で、そうすると、相手を十分にケアできなくなってしまう。クリエイティブ活動と家庭のバランスをとるのは大変じゃないかなと〉
岡村ちゃん、その発想じゃ絶対結婚できないよ!と日本中の人々からツッコミが飛んできそうな結婚観だ。しかし、いつの日か、岡村ちゃんがオノ・ヨーコ的な伴侶を見つけ、ジョン・レノンのように自らの結婚生活をインスピレーション源につくった楽曲を聴いてみたい。そんな日が果たして来るのかどうかは疑問だが、楽しみに待っていたい。
(新田 樹)
最終更新:2015.10.29 12:13