10月11日に投稿された、胸元を強調した帰化女性のイラスト。
〈ビジネスシーンで有利/入国審査が楽々/ビザなし渡航/みんな日本人には油断/帰化一世でも国政に立候補/日本を内側から変えられる/祖国に貢献出来る/日本に尽くす気はないけれど/これが私の帰化した理由です。〉
難民への攻撃を取り下げたと思ったら、今度は帰化者か──いや、そうではない。この作者はまったく反省などしていない。続けざまに画像を投稿したのも、自分の思想に露ほどの変化もないことをアピールしたかったのだろう。
一見、別々の方向に見えるこれらのバッシングの支える根底にあるのは、ヘイトスピーチを問題視する人々の間では既におなじみの「在日特権」をめぐるデマだ。はすみは8日、Facebook上で「このイラストは全ての難民を否定するものではありません。本当に救われるべき難民に紛れてやってくる偽装難民を揶揄したものです」「日本には被害者のふりをして特権を得ている在日朝鮮人または在日韓国人(以下「在日」)と呼ばれる存在があります。(略)国民たる日本人は生活保護が受けられずに多数が餓死しているにも拘わらず、在日の14%以上が生活保護を受けています」と釈明にならない釈明を行っている。難民・帰化者バッシングは、いわばこうした在日特権デマによって作られた「外国人」像の延長線上にあるものだ。
後述するが、近年では「在日特権」の存在を否定する書籍の出版や報道も増加している。そのなかで発生した今回の騒動に「またか……」と頭を抱えたくなったことは否めない。ただ、いったんは公的に否定されたデマが、「衣装替え」して再び世に流通していくことだけは食い止めなくてはならない。
そこで、この記事では問題となったはすみのイラスト2点、さらにはそれらのベースにある「在日特権」がいかに誤りに満ちたものであるかを、先達の仕事とあわせて改めて検証していきたい。