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検証! TPPで安倍政権は国民にどんな嘘をついてきたのか? 畜産物価格の暴落で日本の農家は壊滅の危機に

 さらに同年4月には衆参両院の農林水産委員会は「農産物5項目」(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、サトウキビなど甘味資源作物)について「農家が生産を続けられるよう関税の交渉から除外または再協議の対象とすること」「(守れない場合は)交渉からの撤退も辞さない」と関税死守を決議。14年12月の総選挙では「経済連携交渉は、交渉力を駆使して、守るべきは守り、攻めるべきは攻め、特にTPP交渉は、わが党や国会の決議を踏まえ、国益にかなう最善の道を追求します」と公約を掲げていたはずだ。

 しかし、今回の合意では、コメは「米国、オーストラリアに無関税輸入枠を設定」。麦は「優遇輸入枠を新設、発効後9年目までに関税にあたる『輸入差益』を45%削減」、牛肉・豚肉の「段階的縮小・廃止」などとサンザンな状態で、交渉では譲りに譲ったものになったのだ。

 いったい、衆参両院の農林水産委員会「農産物5項目」関税死守決議は何だったのか。東京新聞10月6日付6面「密室交渉に反発も 13年衆参委で5項目関税維持決議」によれば、「政府は『決議文は、今後も農家が生産を続けられるような対策をとれば関税を撤廃してもいいと読める』(政府関係者)と農業振興策を打ち出して農業団体や農水族議員を懐柔する方針。最終的には党議拘束をかけて強行突破する構えだ」という。首相も6日朝の記者会見でTPP交渉を振り返り、「聖域」としてきた農産物重要5項目を中心に、「関税撤廃の例外を数多く確保することができた」という。

 もう一度まとめるとこうなる。

・2012年12月の総選挙「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」→4カ月の13年3月には「聖域なき関税撤廃が前提ではない」と交渉参加に一転
・2013年4月の衆参両院の農林水産委員会。「農産物5項目」について「農家が生産を続けられるよう関税の交渉から除外または再協議の対象とすること」と決議→「決議文は、今後も農家が生産を続けられるような対策をとれば関税を撤廃してもいいと読める」(政府関係者)

 前段を「巧み」に利用してつく大ウソの数々。うまく言い逃れができたと思っているのだろうか。ウソがバレないように、安倍政権は7日の内閣改造後にもかかわらず秋の臨時国会の見送りも濃厚になっている。

 さらに、首相は「農業は国の基であり、美しい田園風景を守っていくことは政治の責任だ」(5日夜)と述べ、6日朝、安い農産品の輸入が増える懸念があることについて、「TPPに入ると農業を続けていけなくなるんじゃないか、大変な不安を感じる方もたくさんいることを承知している」としたうえで、「政府全体で責任をもって、できる限りの総合的な対策を実施する」と語っているが、これもまた怪しい。

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