だが、もしそうだとすれば少し残念でもある。たとえば、蒼井とは演技のタイプがよく似ている大竹しのぶなどは、それこそ「魔性の女」として数々のスキャンダル報道に見舞われてきたが、怖じ気づくことなく恋愛を繰り返し、「略奪愛だ」「子連れ再婚は身勝手だ」「籍も入れない同棲なんて」とさんざん言われようと、いつも堂々としてきた。そして、紫綬褒章を受章した際には「いろんな男の人たちが支えてきてくれた」と語った。その姿は、じつに清々しいものだった。
恋愛の数が多かろうと少なかろうと、それは自由だ。とりわけ日本では恋愛経験の数が多い女性は「不潔」「ビッチ」だのと罵られがちだが、そんなことは勝手に言わせておけばいい。蒼井が「役者だからこそ傷を仕事に還元できる」と話すように、その先の女優・蒼井優が見てみたいのだ。
だから、もしも蒼井が今度は40歳の節目に今回と同様に恋愛について語る機会があるのなら、そのときはこう言っていてほしいなと思う。「魔性の女だけど、文句ある?」と。
(大方 草)
最終更新:2015.09.01 07:04