日本と同じく第二次世界大戦の敗戦国であるドイツでの報道も見逃せない。朝日新聞が報じたところによれば、ドイツの主要紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」は「謝罪──しかし疑心は残る」との見出しで、「首相自身の言葉でおわびは言わなかった」と指摘。「南ドイツ新聞」も、「安倍首相は圧力に対して頭を下げた」とのタイトルで、「首相が半年前は侵略や謝罪について話すつもりはなかったが、与党内や歴代首相、多くの国民からの圧力に屈した」が、「首相自身の見解を変えたわけではない」と分析している。
ようするに、安倍談話の欺瞞と露骨なレトリックに気がついていないのは、日本国民のほうなのである。アメリカ政府のポチ犬となりつつ、じわじわと歴史の修正を進める安倍首相。その戦略は、軍事侵略や核兵器の輸送までもが可能となる安保法案を「平和安全法制」などと言い換えるのと同じである。
安倍首相がどれだけ美辞麗句を並べようが、いま、この国が戦後70年かけて築き上げてきた平和の道のりを破壊しようとしていることに変わりはない。見せかけだけの「文言」に騙されず、その危険な本質を直視せねばならなない。
(田部祥太)
最終更新:2015.08.20 08:06