「似すぎ」の声が広がる東京五輪エンブレムとリエージュ劇場のロゴ(YouTube「ANNnewsCH」より)
新国立競技場問題に続いて浮上した東京五輪のエンブレムのパクリ問題だが、意見は真っ二つに分かれているようだ。
博報堂出身で「にゃんまげ」「LISMO」「トヨタReBORN」などを手がけた気鋭のアートディレクター・佐野研二郎がつくった東京五輪のエンブレムと、それを盗作だと告発したベルギーのデザイナーによるリエージュ劇場のロゴ。
両者を見比べて、ネットでは「どう考えても似すぎ」「完全にパクリ」との声が広がる一方で、テレビ等のマスメディアでは、コメンテーターが「似ている」「そっくり」としつつも、「世界中にこれだけいろんなデザインがあれば、類似デザインがひとつやふたつはある」「基本図形や文字で構成されているデザインはどうしても似てしまう」と擁護している。
また、日本オリンピック委員会(JOC)も「国際的に商標登録をチェックしているから問題はない」とし、佐野自身もリエージュ劇場のロゴデザインを「まったく知らないものです。制作時に参考にしたことはありません」と完全否定している。
しかし、「たまたま」でここまで似るものなのだろうか。両者のデザインを見比べると、どちらもローマン体のアルファベットがベースで、太い縦棒の左上と右下に対になるようセリフ(文字のハネ飾り)を配置している。左がT、右がLに見えるようになっているのもまったく同じだ。ちがうのは、東京五輪のエンブレムには棒の右上に日の丸と思しき赤い丸がついていること、セリフ部分に金、銀の色をつけていることくらいだろう。
さらに、疑問を感じざるをえないのはデザインの必然性の問題だ。前述したようにどちらも左がT、右がLに見えるのだが、リエージュ劇場のロゴのほうは、Theatre de Liegeの頭文字なので、必然性がある。しかし、東京五輪のほうはTokyoのTだけで、Lが頭文字になる要素が見当たらない。右下にセリフを置いてLに見せなければならない理由がさっぱりわからないのだ。