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「俺らの大将、違うんじゃない?」長渕剛の反安保、反安倍発言に話題沸騰…でも長渕はもともと反戦主義者だった!

 さらに2002年には、9.11後の国際状況に反応し「静かなるアフガン」という曲も発表している。歌詞は以下のようなものだ。

〈海の向こうじゃ戦争がおっ発まった/人が人を殺し合ってる/アメリカが育てたテロリスト/ビンラディンがモグラになっちまってる/ブッシュはでっかい星条旗を背に/ハリウッド映画のシナリオをすげかえる/悪と戦うヒーロー/アフガンの空 黒いカラスに化けた〉
〈ほらまた戦争かい/ほらまた戦争かい/戦争に人道などありゃしねえ/戦争に正義もくそもありゃしねえ〉
〈日の丸と星条旗に僕は尋ねてみたい/戦争と銭はどうしても必要ですか?/広島と長崎が吠えている/「もう嫌だ!」と泣き叫んでいる〉
(「静かなるアフガン」より)

 これまた、長渕ならではの言葉遣いだが、この曲をつくった動機について、長渕自身は「週刊プレイボーイ」(集英社)02年6月25日号のインタビューでこう答えている。

「歌詞にはあえて“ブッシュ”や“ビンラディン”“日の丸”といった言葉を使いましたけど、テロ行為を行なったとされるアルカイダ側の人も、報復措置に出たアメリカ側も、そこに追随した日本を始めとするいろんな国のことも、単純に“善”や“悪”、“正義”や“不正義”というひと言では簡単に決めつけることはできない。不用意に発言できないテーマだから僕なりに勉強もした。テロについて、戦争について、現場で起こっている事実について…。そういう現実を知れば知るほど、含みを持たせた言葉で濁すこともしたくなかったから、ダイレクトな表現でメッセージしながら広義の愛を訴えてみたつもりだったんですが…」

 しかし“ブッシュ”や“ビンラディン”といった固有名詞を使用したことが災いし、「静かなるアフガン」は放送自粛曲に指定されることになる。前掲の「週刊プレイボーイ」でその顛末をこう語る。

「僕はね、NHKあたりが真っ先にオンエアしてくれると思ったんですよ。民放はいろんなスポンサー様とのしがらみがあるから、オンエアにそぐわないということで流してもらえない可能性もあるなと思っていたけど、NHKはそうじゃないし…と。なのに、NHKがまず“NO”と言ってきた」

 しかし放送自粛になっても、長渕は歌詞を変えるなど日和見的な姿勢を一切見せることなく、“反戦”の姿勢を貫き通した。

 片方で右翼的なマッチョ体質をさらけ出しながら、反戦プロテストソングを歌う──いったいどうやって、この極端なふたつの思想を共存させているのか、不思議な感じもするが、少なくともミュージシャンとしての来歴を考えると、長渕のルーツは明らかに反戦・プロテストのほうにあるといっていいだろう。

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