まるで憲法改正の動きに反応したかのようなメッセージを発する、天皇と皇后。だが、“先の戦争”への反省と“平和”に対する思いは、つねづねふたりが口にしてきたことだ。
今年の元旦、天皇が述べた新年の感想は、このようなものだ。
「本年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。(中略)この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、いま、極めて大切なことだと思っています」
戦争の歴史を正しく知り、未来を考えよう。そのスタンスは、中国や韓国への“謝罪”にもつながっている。1992年、日本の天皇としてはじめて中国を訪問した際、天皇はこう述べている。
「この両国の関係の永きにわたる歴史において、我が国が中国国民に対し多大な苦難を与えた不幸な一時期がありました。これは私の深く悲しみとするところであります。戦争が終わった時、我が国民は、このような戦争を再び繰り返してはならないとの深い反省にたち、平和国家としての道を歩むことを固く決意して、国の再建に取り組みました」
これは「明確な謝罪」といえるものだが、94年に韓国の金泳三大統領を招いた宮中晩餐で、韓国に対しても同様の発言を行っている。
そして、忘れてはいけないのは、沖縄への深い感心だろう。天皇は、沖縄で最初の慰霊碑である「魂魄の塔」について、こんな琉歌を詠んでいる。
〈花よおしやげゆん 人知らぬ魂 戦ないらぬ世よ 肝に願て〉
(花を捧げます 人知れず亡くなった多くの人の魂に 戦争のない世を 心から願って)