天皇が、安倍政権に危機感を感じていることは折々の言葉を見ればあきらかだが、他方、安倍政権側も天皇の発言を危険視している。事実、今年4月、安倍政権下で教育再生実行会議委員をつとめるなど安倍首相のブレーンとして知られる憲法学者の八木秀次氏は、「正論」(産業経済新聞社)5月号で「両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねない」「宮内庁のマネジメントはどうなっているのか」と、暗に天皇・皇后を批判している。
しかし、これは飛んだ的外れの批判だ。日本国憲法第99条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という条文がある。そもそも現天皇は戦後憲法によって天皇に即位したのであり、自己の立脚基盤を憲法におくことは当然の話。むしろ、国会議員でありながら、憲法に立脚せず、到底合憲とはいえないシロモノを解釈改憲でどうにかしようとする安倍首相こそが、憲法に反しているのだ。
ついにネトウヨたちから「在日」とまで呼ばれるようになった天皇・皇后。平和な国であってほしいという切実な思いは、安保法制採決によって、このまま踏みにじられてしまうのだろうか。
(エンジョウトオル)
最終更新:2015.07.15 07:04