こうした懸念を表明したのは「L’Obs」だけではない。今年6月、これまた国際的な影響力を持つ英国の経済誌「The Economist」も日本会議と安倍政権の危険な関係を報じた。記事のタイトルは、「Right side up」。
同記事では「L’Obs」の記事と同じく、「日本会議」を〈戦時下日本を理想化〉し、〈戦前の天皇崇拝の復活〉や〈日本の再軍備〉を目指して活動する“困った人たち”の集まりだと解説している。
また、日本会議は〈戦時下日本の侵略行為を示すものに対して、嘆願書やクレームの電話などで反対キャンペーンを行い〉、それが〈中国や韓国のナショナリストに、日本の軍国主義が復活しつつあると主張する口実を与えている〉とも指摘する。
しかし、同記事が特に問題視するのは、日本会議の持つ〈驚くべき動員力〉だ。
〈10年ほど前、子供達に愛国心を教育することを強制する教育基本法改正を要求し、360万もの署名を集めた。その要求どおり、第一次安倍政権で教育基本法改正が実行されたのである〉
06年の教育基本法改正といえば、短命に終わった第一次安倍政権の数少ない〈成果〉だ。当時、日本会議は「教育基本法改正」を実現するために、〈360万もの署名〉を集めるほかにも、「教育基本法改正を訴える全国縦断キャラバン」などといった取り組みもしていた。
そして現在、日本会議は新たな活動を始めつつあると同記事は指摘する。
〈(日本会議は)憲法改正に必要な国民投票の実施を目指し、100万人の署名を集めている。憲法9条を撤廃し、伝統的な家族観を大事にするような憲法を求めている。2012年に作成された自民党改憲草案は、こうした日本会議の主張をいくつも採用している〉
06年の「教育基本法改正」の時のように、現在進行中の日本会議の「憲法改正」を求める活動は、今後の安倍政権に大きな力を与えるのではないか?という不安を同記事は示唆している。