同記事では安倍政権と日本会議の関係について、政治学者、中野晃一による次のような分析も紹介している。
〈(安倍晋三は)日本人に戦後の平和主義的で自由で民主的な憲法の根本的な改変を日本人に売り込む、そのことだけを目的にアベノミクスの成功を求めているのではないかと疑われている。そして、彼が1997年の創設時から参加している日本会議が憧れてやまない大日本帝国の秩序を(日本人全体へ)押し付けるために〉
現在の安倍政権は、日本会議が掲げる「大日本帝国への回帰」という理想に突き動かされて暴走しているのではないか? 同記事が伝えるのは、こうした懸念だ。そして同記事が特に懸念を示すのは、日本会議が「愛国教育の復活」と「憲法改正」を掲げて精力的な活動を展開していることである。
〈日本会議は「愛国」教育への回帰を熱望している。彼らの夢は、1890年代の大日本帝国時代の法を可能な限り現実化することだ。幾重もの世代を神風特攻に仕立て上げた、天皇を頂点とする支配制度を個人に強制した法に〉
〈日本会議は……平和憲法を根本的に変えることを望んでいる。最初の標的は日本が「戦争の永久放棄」をしている第9条だ。国粋主義はどこにでも介入できる「自衛力」以上の軍隊を欲しがっている〉
〈大日本帝国時代の法〉の復活と〈どこにでも介入できる「自衛力」以上の軍隊〉。まさに、日本会議の本質を言い表した指摘だが、同記事はその危険な思想が日本会議の実働部隊と化した安倍政権によって現実化しつつあるのではないか、と懸念を表明するのだ。
そして、安倍政権の今後を占うメルクマールとして「終戦70周年の首相談話」と「2016年の参議院選挙」をあげる。
〈安倍と歴史捏造主義者はどこまで行けるだろうか? 日本中の誰もが、終戦70周年を迎える今年の8月15日に安倍首相が発するだろう声明を待ちわびている。これまでの政府見解(村山談話、河野談話)をどこまで覆してしまうだろうか?〉
〈安倍の目的は、2016年7月の参院選で圧倒的多数を得て、憲法を変えるために必要な多数を手にすることだ。それが実現してしまうだろうか?〉