NHK公式HP「NHKについて 会長あいさつ」より
受信料の支払い率を80パーセントまで上げることを目標にしている公共放送・NHK。近年はホテル業界などを相手取っての受信料訴訟もしばしば行っているが、トップの籾井会長が紅白終了後のカラオケや私用のゴルフに行くためのハイヤー代を経費処理していたりと、国民の不信感は募るばかりだ。
そんなNHK受信料を巡って、また新たな疑惑が浮上している。「NHKの思いやり予算? 推計30億円超 在日米軍基地受信料不払い38年!」──との見出しで「サンデー毎日」(毎日新聞社)6月14日号が報じたのだ。
「サン毎」が入手したNHK作成の米軍との交渉経緯を示した文書には、在日米軍による“未払い”の実態が書かれていたという。それによれば、NHKが米軍と直接交渉したのは1978年からの2年間、4回のみ。その後83年から95年までの13年間では、計11回基地内での立ち入り調査を申し込んだが、「要求に応じられない」と米軍から門前払いをされていたというのだ。
NHKホームページ上の「よくある質問集」によれば、受信料制度は「視聴者のみなさまに公平に負担していただくことが大原則です。また、公平負担の徹底に努めることは、NHKの責務です」と説明されているが、「サン毎」の取材に対しNHKはこう答えている。
「現在、基地内に受信契約はありません、基地内への立ち入りが認められていないこともあり、契約の対象となる世帯およびその受信料額について把握していません」
なんと、2015年現在でも、米軍基地内では受信契約がないというのである。記事によれば、米軍による「不払い金額」は95年に判明した推計額から今年までの38年間で30億円を超える試算。仮に、米軍基地内でNHK電波の受信が行われているとすれば、その「30億円」が“特別に免除されてきた”と考えることもできるだろう。
「サン毎」は「その実態は在日米軍へのNHKの“思いやり予算”だ」と弾劾しているが、たしかに、国会で予算承認される公共放送のNHKが、基地内への立ち入りが日米地位協定によって制限されていることを理由に在日米軍から受信料を聴取していないのであれば、これはある種の「思いやり予算」である。
そもそも「思いやり予算」とは、防衛省の予算に計上されている「在日米軍駐留経費負担」の通称。1978年度予算で日本人基地労働者への費用の一部として62億円が計上されたのが最初だが、現在でも在日米軍の日本駐留の経費を部分的に日本側が負担していることで知られている。