また、先日、小豆島で両親を殺害して逮捕された男性が海上自衛隊勤務時代、イラクに派遣されていたことが「日刊ゲンダイ」(6月11日付)で報道されたが、なぜか大手マスコミはどこも取り上げなかった。
さらに米軍の例を見ても中東に派兵された米兵の自殺者数は年に250人にも上っているのだ。もし安保法制が成立すれば隊員たちはさらなるストレスにさらされ、この数字が跳ね上がることは想像に固くない。
もし安倍首相が本気で、そして真摯に安保法制を成立させたいというなら、まず真っ先にこうした戦死や自殺のリスクを開示して「自衛隊員の戦死者を出す覚悟がある」と明言し、広く国民的に議論すべきなのだ。「あなたの夫、息子が戦場で死ぬかもしれない。それでも安保法制は必要」「墓地は国できちんと用意しますからご安心を」と。これに対し納得する国民はどのくらいいるだろうか。しかしそんなことさえ正面から議論できない安倍政権に安保法制うんぬんを語る資格はない。
(野尻民夫)
最終更新:2015.06.12 06:42