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セクハラでっちあげ、親の介入、備品持ち帰り…「モンスター社員」増殖の理由とは?

 しかし上司である所長がタイムカードを調べてみると、新人の勤務は他の従業員より時間が短く、休みも月に7~8日と、運送業にしてはかなり短いシフトであることが分かった。確かに残業はしていたが、法定労働時間に行政が定める延長できる労働時間(残業時間)を足した時間よりも短かった。過重労働には当たらない。会社はタイムカードのコピーとともに、経緯を書いた文書を新人の自宅に送った。すると数日後、新人の母親から手紙が届いた。手紙にはこう書かかれていた。

「所長のパワーハラスメント及び残業代未払い、不当解雇について慰謝料300万円を7日以内に支払え」

 さもなくば知人の議員に依頼して営業許可を取り消してもらう、労働基準監督署に通報し、措置をとるという。結局、新人には2か月程度の賃金を払うことで退職してもらうことになった。

 モンスター化する「働くママ」も登場する。ある製作所の30代後半の経理担当事務員は小学生の子供を持つ。この会社では10年以上勤めてきたベテランで仕事もできる、なくてはならない存在だ。だが、当然子供の学校行事や、熱を出した、などの理由で会社を休むこともある。それを上司の部長はよく思っていないらしく、「また休むのか?」「もうやめた方がいいんじゃないか?」といやみを言われる、と著者の元に相談に来た。

「働く母親は要らないってことですよね? 国は育児休業を推進しているのに、こんなこと言う部長はおかしいですよね?」と訴えた。確かにその通りなら問題がある。ところが、名指しされた部長の話はまるで異なる。「休みの連絡をしないで突然休む」「毎日職場から子供に10分以上電話を掛ける」「夏休みに、一人で留守番は危ない、とほぼ毎日職場に子供を連れてくる。放課後にも子供が職場に来ては応接室で菓子を食べさせたり、ゲームをさせる」「小口現金の管理を任せているが、購入したトイレットペーパー等備品を自宅に持ち帰っている」「PTAの連絡に、会社のFAXを勝手に使っている」……。

 こうした問題が頻繁にあって、そのたびに注意すると「女性に対する差別だ」「子育てしながら仕事ができる環境を会社が整備するべきだ」と反論する。だが、このママ社員の後輩社員は著者に、この社員は会社の切手を盗んでいること、残業はいつも後輩社員に押し付けていること、仕事中にネットオークションをやっていて、出品した品物を会社の経費で発送していることを明かしている。

 こうした悪事を問い詰められたママ社員は「もうこんな会社にはいられない」と怒って帰宅。自主退職という扱いになったものの、事態はこれで終わらなかった。元社員は子供の学校のPTAの会合で、この会社は脱税をしていて、それを指摘した自分が辞めさせられた、とあらぬ噂を流した。さらにはインターネットの掲示板に同社を誹謗中傷する文章を書き込んだ。

 ほかにも暴言を吐き放題のパワハラ社員が女子社員の人格を否定する発言を繰り返し、ゴミ箱を蹴り飛ばしペンを投げつけ、女子社員を精神的に追いつめたケース等、同書にはさまざまなモンスター社員が登場する。

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