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安易な生活保護バッシングに走る前にこのマンガを読め! 福祉事務所職員が直面する現実

 彼女は、法律に基づいて不正受給を取り締まっただけだ。しかし、いくら理屈の上では「正しい」ことだと理解しても、それを高校生と彼の家族に押し付けることに、えみるは葛藤する。彼らが懸命に生活を営む姿を見ているからだ。

 しかし、本当に高校生のアルバイトは不正受給にあたるのだろうか? 現実に裁判で争われたケースがある。

 15年3月に横浜地裁で判決が下された川崎市の事例だ。この裁判では、ある生活保護世帯の少女が学業の為に行ったアルバイトが無申告だったために、不正受給とされてしまったことの是非が争われた。

 倉地康弘裁判長は、少女がアルバイトで得た賃金を修学旅行費用と大学受験費用に使ったことを認め、「これを申告せずに生活保護を受けたことを不正と断じるのは酷だ」として不正受給にはあたらないとの結論を出した。市は控訴しなかったため、この判決は確定した。

 このように場合によっては寛容な判断がなされることも実際にはありえるのである。

 そういえば、第二次安倍政権は、生活保護を一貫して切り崩し続けてきた。政府は生活扶助について13年から15年度末までに670億円減らす方針を決定している。こうした安倍政権の姿勢の背景にも、やはり、受給者に対する“行政を騙して血税をむさぼる怠け者”というイメージがあるのだろう。

 だがどうか。たとえば『健康で文化的な最低限度の生活』を読めば、そのイメージはあまりにも画一的で、偏見に満ちたものだということが分かる。はたして安倍政権は、人々に等しく保障されているはずの生存権を守っていく気があるのだろうか──。

 もしもあなたが「こいつらに人権なんぞない」などと思っているのであれば、もういちどよく考えてみてほしい。こういう言説が積み重なった結果潰されるのは、「不正受給」ではなく、われわれ自身の“生きる権利”そのものなのだ。決して他人事ではすまされない。
(森高 翔)

最終更新:2018.10.18 04:46

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