女性ファッション誌は、その時代の女性たちの映し鏡。そう考えると、今回の「ViVi」の企画は「女性の保守化」という時代の空気があるからこそ生まれたものだ。実際、2012年に博報堂生活総合研究所が行った調査によれば、20代女性の3人に1人が専業主婦になりたいと回答しているように、キャリアよりも、夫の安定した収入に支えられたなかで子どもを産み育てることを夢見る女性は増えている。
こうした保守反動は、言わずもがな、一向に是正されない女性の労働環境にも大きな理由がある。女性ファッション誌が女のライフスタイルを提案するものなのであれば、現在の保守化の理由を掘り下げる企画があってもいいのに──かつての「モア・リポート」がはたした役割のように──と思う。いや、そこまででなくても、「プロ彼女」という言葉を能町の文脈で企画にしたって、十分、女性読者は溜飲を下げる記事になったはずなのだ。とはいえ、今回「プロ彼女」をあえて誤用したことでも明らかであるように、肝心の編集者自身が無関心かつ無自覚なのだから世話がない。
だから言っても無駄かもしれないけれど、最後に一点だけ。「プロ彼女」誤用問題以前に、「男の浮気は許す」だの「メールの返信がなくても気にしない」だの細かく注文をつけてくる西島秀俊みたいな小さい男って、どうよ? これが最大のツッコミどころだと思うんですけど……。
(田岡 尼)
最終更新:2018.10.18 03:13