また、妻が出産したことで男性の身体に変調はないはず、とさっき書いたが、これもコートニー氏によると、「妻の出産に伴い、夫のホルモンバランスも変化する」というから驚きだ。なんでも「(男性ホルモンの)テストステロン値が下がり、(女性ホルモンの)エストロゲン値が上がる」らしく、その原因はいまだ不明。ただ、「進化生物学では、人間は出産後に男が妻子のそばにとどまるようプログラムされていると説明される」と解説している。
さらにやっかいなのは、男性の場合“うつには見えない行動がうつの兆候”であるという点。たとえば、「長時間残業する、すぐカッとなる、ランチでビールを飲む、オフィスを抜け出して不倫したかと思うと、急いで妻の元に帰る」といったことも「鬱の兆候に該当する」というのだ。不倫をうつのせいにされたら妻としてはやるせないが、「不倫に限らず、ギャンブルや散財、ふらっと旅に出る」なども、男性の産後うつには見られる衝動的な行動らしい。
ちなみに、男性の産後うつでは、「赤ん坊が手の付けられないほど泣くことが耐えられないという訴え」が多い。というのも、「男性は自分が無力な気持ちになることに慣れていない」から。泣く赤ちゃんに何もできない無力な自分に苛立つ……その結果、赤ちゃんに手をあげてしまいそうになるケースもある。女性の産後うつでも虐待につながることが指摘されているが、男性にも同じことがいえそうだ。
女性にとって産後は、もっとも夫が頼りになる存在であることにちがいなく、夫の支えを期待している。それが夫のプレッシャーになることもあるかもしれないが、妻がひとり慣れない子育てで精神的に追い込まれれば、ますます夫婦間の溝は深くなり、夫もうつを抱える状態に陥る可能性もある。そうならないためにも、不安を解消するべく互いに話し合い、経済的不安があるなら家計プランを見直したり、いかに子育てを分担するかを決めるなど、ストレスの要因を減らすことが大事だ。
そういう意味でいえば、パタニティ・ブルーを疑われている小栗よりも、ブランドものを買い漁っているといわれる山田優のほうが強いストレスを抱えているようにも思えてくる。ふたりが産後うつでなければいいのだが……。
(大方 草)
最終更新:2017.12.19 10:17