小向美奈子のデビュー作の相手を務めるなど、多くの女優の“開幕戦”を任されることが多いしみけんは、「ウンコを食うキワモノ男優だと、悲しいかな、そこはいけないんです」とも語っている。つまり、本当は「ウンコを食いたい」という欲望を抱えながらも、それを抑えてイケメンとして綺麗なセックスを見せているのだ。
ただ欲望のままにヤルのがAV男優ではない。欲望を殺してヤラないのもAV男優なのだ。これもまたプロフェッショナルな姿といえるだろう。
そんなしみけんは、後進の育成にも積極的だ。女性向けアダルトビデオレーベル「SILK LABO」の専属男優として女性に絶大なる支持を受けている一徹は、しみけんの弟子にあたり、SILK LABOの専属男優となる際も、しみけんが背中を押したという。
また、イセドン内村という男優もしみけんの弟子筋にあたるが、こちらは「ミュータント計画」を遂行している。
ヤル気はあるが、なかなか芽が出ないイセドン内村に対し、しみけんは肉体改造を計画する。体力を作るためのフィジカルトレーニングに加え、男性ホルモンを増やすための3種類のサプリメント、射精後の“賢者タイム”を防ぐクスリ、勃起を促す漢方薬を投入。つまりしみけんは“ドーピング”を施すことで、イセドン内村を「ミュータント男優」へと変身させたのだ。身体に対する負担を考えると、到底真似できるものではなく、AV男優としてのプロ意識がエクストリームな形で発揮された例といえるだろう。
そして、しみけんの兄貴分にあたるのが島袋浩だ。20歳で男優デビューしてから30年近く現役を続けている島袋は「AV男優はプロ野球選手だ」との説を唱えている。
「一つ一つの絡みに集中して挑んで、そこで必ず結果を求められる。失敗は許されないんです。AV男優も野球選手も40歳を境にして体力も精神力も精力も衰えていって、50歳で現役ってなかなかいない」
あくまでも体力が重要で、若い女優と並んでもおかしくないような肉体を保つのが理想だという島袋。歳を重ねてもなお、現役を続けるには、やはりただならぬ努力が必要なのだ。
一方、島袋は、街中で素人の女性をナンパしてセックスまで持ち込む「ナンパもの」でも人気だ。『AV男優の流儀』では、その「ナンパもの」の裏側にも迫っている。
言葉巧みな話術で素人女性を口説き落としていく島袋に、鈴木おさむは「あの女のコって仕込みなんですか?」という素朴な疑問をぶつける。