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ユニクロ下請け工場のブラックな実態! 月300時間労働、灼熱地獄、違法な罰金…

 柳井氏は“一部の事象”というが、今回のようなブラックユニクロを批判する声はこれまでにもあった。2010年5月には、「週刊文春」(2010年5月6日・13日号/文藝春秋)の「ユニクロ中国『秘密工場』に潜入した!」と題する記事で、11年3月には単行本『ユニクロ帝国の光と影』(文藝春秋)で、ジャーナリスト横田増生氏が、国内店舗の店長の月300時間を超える労働時間の問題や中国工場(今回の報告書とは別の複数の工場)で長時間労働が常態化しているといった事実を指摘していた(今回のNGOの報告書は横田氏の記事を裏付ける内容でもあった)。

 こうした記述に柳井氏が激怒。文藝春秋に計2億2000万円の損害賠償と書籍の回収を求める裁判を起こしたものの、地裁判決(13年10月18日)で、「(記事の)重要な部分については真実である」として、長時間労働の実態を事実と認定し、二審判決(14年3月26日)でも「記事は真実か、真実と信じた相当の理由がある」として、「真実ではない」とするユニクロ側の主張を退けた。最高裁第三小法廷も2014年12月9日付でユニクロ側の上告を退けることを決定した。つまり、ユニクロはブラック企業という事実を裁判所が認めたのだ。

 しかし、日本のマスコミは中国のユニクロの下請けによる搾取工場問題をほとんど取り上げず、柳井氏の言い分ばかりを取り上げる。ユニクロのアメ(609億円の広告宣伝費(2014年8月期))とムチ(都合の悪い記事には2億2000万円の損害賠償裁判)のマスコミ対策により、日本では事実上、黙殺されているのだ。

 消費者のニーズを把握し、中国の工場でベーシックな商品を大量生産、卸などを通さずに自社店舗で販売するというSPA(アパレル製造小売り)の手法を活用し、急成長を遂げてきたユニクロだが、その内実は、中国の搾取工場で低コスト商品を大量生産、日本国内では“名ばかり店長”を酷使し大々的な広告費の投入で販売する、というものにすぎなかった。

 米経済誌「フォーブス」の2014年版世界長者番付によると、柳井氏の推定資産は179億ドル(1ドル100円換算で約1兆7900億円)で世界ランク45位、日本人としては孫正義ソフトバンク社長に次ぎ第2位だ。その多くは労働者から搾取したものなのだ。

 ユニクロは2020年には売上高5兆円を目指している(2014年8月期連結決算の売上高は1兆3829億円)が、搾取工場を生み出すユニクロのブラックな体質が続くようであれば、その主要な顧客となるはずの東アジアの人々も客離れを起こし、その達成はますます遠のくばかりだろう。
(小石川シンイチ)

最終更新:2015.02.25 07:19

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