小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

menu

春香クリスティーンが「炎上」して考えたこととは…タコツボ化する「右」と「左」

haruka_150225.jpg
『ナショナリズムをとことん考えてみたら』(PHP研究所)

 ここ数年、政治関連の番組でよく見かけるようになった女性タレント──それが春香クリスティーンだ。

 1992年スイスに生まれ、日本人の父とスイス人の母を持つ彼女は16才の時に単身来日。趣味で政治家の追っかけをやっていたことなどから「政治に関心を持つタレント」として脚光を浴び、現在ではバラエティ番組などにも多数出演している。

 そんな彼女がこのほど新書を出版した。タイトルは『ナショナリズムをとことん考えてみたら』(PHP研究所)。いったいなぜ「ナショナリズム」なのか?

 きっかけとなったのは、自身が経験した「炎上事件」だ。2013年12月、とある情報番組に出演した彼女は安倍首相の靖国参拝についてコメントを求められ「もしもドイツの首相がヒトラーの墓に墓参りをした場合、他の国はどう思うのかということで議論されるわけですけど」と発言。このたった一言が「ヒトラー発言」として一人歩きし、主にネット上で猛烈なバッシングを受ける。

 なかにはツイッター上で「朝鮮帰れ」と罵声を浴びることもあった。スイス出身なのに「朝鮮」? そう、彼らの正体は「愛国者」を自認しながら、その実ネット上で仮想敵を見つけると何でも「在日」とレッテル貼りをする「ネトウヨ」だったのだ。「朝鮮帰れ」は対象を問わず、攻撃の決まり文句だった。以前朝日新聞に秘密保護法反対のコメントを寄せたことで右から、炎上から半年後には読売新聞に原発再稼働を容認するコメントを寄せたことで左から非難を受けた経験も重なり、彼女はネット上でのこうした「色分け」に辟易するようになる。

 バッシングを受けると、多くの人間は恐怖のあまり沈黙してしまう。当初は春香クリスティーンもそうだった。しかし、その後彼女は疑問を抱き始める。愛国的ナショナリズムと結びつけられて語られることの多いネトウヨとはそもそもどんな人々なのか? 政治的な「右」「左」の区別はそんなに簡単なのだろうか? 問いをたずさえ、彼女は萱野稔人、鈴木邦男、田原総一朗、三橋貴明という4名の立場が異なる論者に直接話を聞きに行くのだ。本書のなかにはその取材成果がまとめられている。
 
 こう書くとネトウヨへの「反撃本」というイメージを持たれるだろうか。「そうではない」点が本書のミソでもあることも強調しておきたい。彼女はネット上においては「『右』も『左』も『タコツボ化』していく」特徴があると断ったうえで、こう続ける。

「ネット上の議論がうまくかみ合わないのは『右』だけのせいではありません。(略)『ネトウヨ』だけを槍玉に挙げるのもフェアではないのでは?」

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

カテゴリ別に読む読みで探す

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。

プッシュ通知を受け取る 通知を有効にする 通知を停止する