小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

menu

月9『デート』で話題の「高等遊民」はニート以上に差別されていた! 移民強制も

 小説家・近松秋江(徳田浩司)は、東京専門学校(早稲田大学の前身)を卒業後、先輩の紹介で出版社や新聞社に就職するもすぐに辞めてしまい、高等遊民になる。怠惰な徳田は自意識だけは立派で、「文学学術の人が、其の創作に苦心して、思ふやうに書けず貧に苦むは古今東西の先例あること」と言い、「クリエイティブなことをやりたい人間は就職しちゃダメっしょ」的な考えのもと、高等遊民を続ける。同棲を始めた女性・ますに小間物店を経営させ、自分は執筆に没頭する。しびれを切らした彼女から別れを持ち出される。「文学者には、もう飽いた。一生借家住居の人の女房になつてゐたのでは、何時何時夫に死に分れて、路頭に迷はねばらならぬかも知れぬ」と言い残して去られた彼は、洋書の大半を売り、金を作ったという。本棚の全集を売ってクリスマスプレゼントにネックレスを買った巧よりも悲惨な暮らしをしていたのだ。

 高等遊民の味方をしてくれたのは内田魯庵くらいのものだった。「文明国には必ず智識ある高等遊民あり」とし、「遊民の多きを亡国の兆だなどと苦労するのは大きな間違いだ。文明の進んだ富める国には、必ず此の遊民がある」と断言してみせた。しかしながら早速「何も遊民を喜ぶのではない。あっても決して差支えないと言うのである」と歯切れが悪い。それだけ高等遊民に対するイメージは底を突くほど悪かったのだろう。

「我は高等遊民也」と宣言する長谷川博己演じる巧には、社会に馴染もうとしない頑固っぷりを面白がりながら、渋々付き合ってくれている家族や友人がいる。恋に落ちるかどうか、という相手もいる。かつての高等遊民からは、そのリア充っぷりに「オレたちの苦悩を知らずに高等遊民を名乗るな」と、怒りと嫉妬を買うかもしれない。なんたって彼らは「社会国家に害毒を流し親兄弟の顔汚しとなりおまけに故郷の名誉を汚すに至る」とまで言われてきたのである。かつての、四面楚歌の高等遊民を追想しながら、現代の高等遊民の行く末を見届けたい。
(武田砂鉄)

最終更新:2018.10.18 05:52

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

カテゴリ別に読む読みで探す

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。

プッシュ通知を受け取る 通知を有効にする 通知を停止する