恐るべき裁判所の姿だが、しかし、この名誉毀損の適用厳格化と損害賠償額高騰は予想以上に効果を発揮し、メディア、とくに週刊誌の萎縮は進んだ。
独自の調査報道をしても、訴えられて高額の賠償金をとられることになるのなら、無難な記事でお茶を濁したほうがいい。各雑誌の編集部はそんな空気に支配され、すぐに訴訟を起こす政治家や芸能人、宗教団体を避け、報道しても訴えてきそうにない小物をリンチのように吊るし上げる報道が中心になっていった。政治家の疑惑についても、物的証拠をつかむのが困難な贈収賄や裏金報道はほとんどなくなり、政治資金収支報告書に記載されている小さな問題や失言などが中心になった。
しかも、ここにきて、安倍政権によってメディアへの圧力はさらに強まっている。このままいくと、週刊誌は本当にただの弱い者イジメのメディアになってしまうかもしれない。
(伊勢崎馨)
最終更新:2017.12.13 09:19