フジテレビ『信長協奏曲』番組サイトより
月9ドラマ『信長協奏曲』(フジテレビ系)が今日、最終回を迎える。平均視聴率13%を超え、まずまずの人気を博し、映画化の噂も流れている。
改めて信長人気の根強さを再認識した形だが、その信長を語るうえで避けて通れないのが、その最期。謀反を起こされて志半ばで倒れることになる、いわゆる「本能寺の変」は、日本史のなかでも最大のミステリーとされている。信長の重臣・明智光秀は、なぜ謀反を起こしたのか。その謎をめぐって、信長からの理不尽なイジメに光秀が憎しみを抱いていたという「怨恨説」から、一武将として天下取りをねらった「野望説」、他の武将は一切事件に関与せず個人的理由で謀反に至ったという「単独犯行説」、豊臣秀吉や徳川家康、朝廷などを首謀者とする「黒幕説」まで、さまざまな説が百出してきた。
また本能寺の変は、手薄な警護で自ら危機を招いた信長の油断が一因であったことや、さらに光秀の謀反を知ると毛利氏と和睦をまとめて驚異的なスピードで引き返し仇討ちを果たした秀吉の功名が、基本ストーリーとなっている。真相は明かされていないものの、これらのストーリーは歴史学会でも公認され、いわば「定説」といっても過言ではないのだそう。
しかし、この「定説」に大きな一石を投じた、と話題になっている書籍がある。それが『本能寺の変 431年目の真実』(文芸社)。「本能寺の変」をテーマにした書籍が数多あるなか、25万部を突破するほどの異例のヒットとなっている。なぜ、これほどに話題を集めているのか。それは、作者が「本能寺の変」を起こした張本人、明智光秀の子孫であるからだ。
光秀の末裔であり本書の著者である明智憲三郎氏は、歴史学者でもなければ、学術畑でもない。なんと本職はシステムエンジニアで、大手電気メーカーに入社後、一貫して情報システム分野で活躍してきたのだ。その理系の発想をもって、これまでの「定説」をことごとく否定する論理的手法も話題に拍車をかけている。
さて著者自身が本書の特徴として挙げているのが、その独自の検証方法。「歴史捜査」と名付けたその手法は、信憑性のある史料を見極めるため徹底的に一次資料を洗い直し、証拠と推理に妥当性をもたせていくというもの。著者いわく、歴史学会では史料の信憑性に慎重な学者でさえ「軍記物」を採用しているのだとか。つまり、武将や大名が武勲や武功について物語形式でつづったプロパガンダのような書物を歴史研究の裏付けにしているというのだ。著者は、それでは「真実には決して行き着けないのです」と主張する。