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C.R.A.C.野間易通「ネット右翼の15年〜『自由』が民主主義を壊していく」第1回

もはや首相自体が「ネトウヨ」である──安倍“ヘイト”政権が誕生した日

 2ちゃんねるの完全匿名システムも当然にこうした流れの延長線上に登場したものだった。デフォルト「名無し」の匿名で投稿できるだけでなく、サーバーに投稿者のIPアドレスすら記録しない2ちゃんねるは画期的かつ、実験的なシステムだったのである。2ちゃんねるでは差別発言を投稿する自由すら認められていたが、膨大な量の言説によって「悪い」言説は自然と淘汰されていくはずだという楽観論が支配していた。また、そうあるべきだと誰もが考えていたのだ。

 それから15年。

 ネット上は2ちゃんねるのようなBBSだけでなく、ありとあらゆるSNS上において匿名ユーザーによるヘイトスピーチと悪意が蔓延するディストピアとなった。ネット右翼は、この悪意のシステムを利用して伸長してきたのである。そしてそれが、ついに政権中枢にまで影響を及ぼしているのが2010年代の日本なのだ。

 大げさな話に聞こえるだろうか。

 それが決して大げさな話でもなんでもなく、インターネット上のネット右翼の歴史を順番にたどっていけばごくごく当然に導かれる結論であることは、これからこの連載が進むにつれて明らかになっていくと思う。

 その端緒として、次回は今年9月に相次いだ安倍内閣のツーショット写真騒動について詳述する。閣僚たちは「たまたま頼まれて写真に収まっただけだ」と一様に主張しているが、そこでネオナチや在特会メンバーと一緒にポーズを撮っている閣僚たちがこの15年間にどんな動きをしてきたか、詳細を知れば「たまたま写真をとった」とは決して言えないことがわかるはずである。
(野間易通)


■野間易通プロフィール
1966年生まれ。フリー編集者。首都圏の反原発運動を経て、2013年1月に「レイシストをしばき隊」を結成。排外デモへのカウンター行動の先陣を切る。13年9月にしばき隊を発展的に解散。新たに反レイシスト行動集団「C.R.A.C.」(Counter-Racist Action Collective)として活動を続ける。著書に『金曜官邸前抗議』『「在日特権」の虚構』(ともに河出書房新社)などがある。

【C.R.A.C.野間易通「ネット右翼の15年~『自由』が民主主義を壊していく」連載まとめはこちらから→(リンク)】

最終更新:2015.01.19 04:03

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