全日遊連や日遊協は、古くからのパチンコ店が多く加盟する保守的な団体であり、小規模なパチンコ店も多い。もしも換金の合法化によって大規模なパチンコチェーンが上場すれば、小規模店はあっという間に過当競争に破れ、潰れてしまうことだろう。
ただでさえ、パチンコ人口が減り、厳しい状況となっている小規模店にとって、換金合法化は死を意味する。全日遊連や日遊協に加盟するパチンコ店にしてみれば、商売を続けていくためには、あくまでもグレーゾーンであってくれないと困るのだ。
また、賭博を取り締まる立場である警察庁としても、パチンコの合法化はあまりうれしいものではないようだ。前出の『パチンコがなくなる日』から再度引用する。
「警察庁にしてみれば、ぱちんこ所管は『巨大利権』といってもいい。警察のぱちんこ利権としては『CR化(プリペイドカード方式)』『天下り』『型式試験(保通協そのものが警察庁の外郭団体)』など多数あるわけで、それを手放せという法律案に反対するのは、庁益に基づく一般的な役所の反応である」(註:「保通協」とは「保安通信協会」のこと。パチンコ機やパチスロ機が規定上の条件を満たしているか型式試験を行う機関)
グレーゾーンであったからこそ成立していたパチンコ利権は、合法化されることで消滅するかもしれない。あるいは、特別法を制定したうえで換金が合法化されるのであれば、所管が警察庁から別の省庁に移動する可能性も出てくるのだ。警察庁が巨大な利権を安々と誰かに受け渡すことなど、考えにくい。合法化に反対するのは当然のことなのだ。
さらにPOKKA吉田氏が2011年11月に上梓した『パチンコ業界タブーな人々』(宝島SUGOI文庫)には、こんな記述もある。
「刑法の違法性を阻却することには、社会全体が慎重でなくてはならない。
ゆえに、カジノの国会議論は刑法185条と刑法35条の議論の場である。ここで必ず浮上するのが『ぱちんこの換金行為』。そのココロは『あれはなんでセーフなんだ?』というものだ。
これに回答する立場なのは警察庁である。
まさか『合法です』とは言えない。言えるなら『ただちに違法ではない』などの禅問答のような見解を発することはないからだ。しかし同時に警察庁は『あれはアウトです』とも言えない。言えば、歴代の警察庁長官以下自身の大先輩方の『不作為責任』を認めることになるからだ。『違法だと知りながら何十年も放置してきたのか?』と言われるわけにはいかない」
パチンコの合法化はつまり、“警察がこれまで違法行為を黙認し続けていた”という事実を公式に認めることと同義だというのだ。