表紙の雰囲気も変わった? 「JJ」14年10月号(光文社)
古くは横浜・元町界隈の女子大生のファッションを「ハマトラ」と命名し、「女子大生ブーム」の火付け役とも言われている、女性ファッション誌「JJ」(光文社)。来年で創刊40周年を迎える同誌の人気を支えてきたのが、女性の心のうちにある「上昇婚」願望だ。
大学を卒業後は家事手伝い、または2〜3年はOLやキャビンアテンダントとして働き、生活レベルが落ちないように高収入の男性と結婚。専業主婦として子育てや趣味を楽しみ、子育てが一段落したら、自宅での料理教室など家族に迷惑をかけない程度に働く──そんなライフスタイルに憧れる女性がこぞって、男性に好かれるためのファッションやメイク、処世術を学ぶために「JJ」を愛読してきたのだ。
しかし、8月発売の10月号には「JJ」らしからぬ、衝撃の記事が掲載されている。それは「ママの時代と、私たちの時代。」という企画。かつて「JJ」を愛読し上昇婚を果たした母と、そんな母に憧れ、専業主婦願望を抱く娘のインタビューページでは、もはや専業主婦になれない現実がJJ読者の間にも広がっていることが実感できる。
たとえば、商社を寿退社後、夫の海外勤務に帯同し、異国で子育てをした母と娘の場合。娘は「私は、子どもを産んだらママみたいに専業主婦になるのが夢。家のことはしっかりやりつつ、ゴルフやテニスなど習い事をたくさんしてアクティブに過ごすママの生活はずっと憧れだったんです」と専業主婦願望を語るも、母からのアドバイスはシビア。「私たちの時代は専業主婦になるしかなかったけれど、今は違う選択もあってもいいと思いますね。子育て中は充実しているから良いかもしれないけれど、子どもが高校生になって手がかからなくなったときのことも考えておかないと」「子育てはいくらでもサポートするので、せっかくならそれまでの経験や努力を活かして、社会で活躍してほしいですね」と、専業主婦だった母は自分と同じ道を選ぶのではなく、働き続けることを娘に促している。
またこの企画内では、キャリアコンサルタントが、男性の所得減少や高齢化社会にあたっての税負担、少子化による労働力減少といった、現代が母親世代とは取り巻く社会情勢が異なることを細かに説明している。さらに「仕事を続けて母親以外のアイデンティティを持つことは、女性にとっても家族にとっても、幸せにつながる」「子育てはいつかは終わるもの。母親になった後は長期的な目線でキャリア設計を」と、仕事を続けることを猛烈にアピール。もはや、専業主婦願望粉砕企画といってもいいほど、シビアな現実をこれでもかと見せてくる。