週刊誌広告掲載拒否問題でも叩かれている朝日新聞。だが他の言論機関もかつて……(イメージ画像は『朝日新聞』8月5日朝刊より)
従軍慰安婦報道、吉田調書報道で袋だたきにあっている朝日新聞に、また新たな火種がもちあがった。ジャーナリストの池上彰氏による朝日批判コラム、さらに朝日の慰安婦問題を追及した週刊誌の広告を掲載拒否したことが、「言論の自由を犯す行為」だと批判を受けているのだ。
朝日は池上彰氏に対しては方針転換をして批判コラムを掲載することになったが、週刊誌の広告掲載拒否については、まだ解決のつかないまま対立状態が続いている。
発端は、8月28日に朝日新聞に掲載予定だった同日発売の「週刊文春」と「週刊新潮」の広告が掲載拒否されたことだった。両誌には「朝日新聞『売国のDNA』」(文春)「1億国民が報道被害者になった『従軍慰安婦』大誤報」(新潮)という慰安婦問題に関する朝日批判の記事が大々的に特集されていた。
当然、両誌はこれに反発。文藝春秋は「新聞読者が当該記事(慰安婦記事)のみならず、他の記事の広告まで知る機会を一方的に奪うのは、言論の自由を標榜する社会の公器としてあるまじき行為であり、厳重に抗議します」と朝日に抗議文を送付、また新潮社も朝日新聞から事前に見出しを修正するよう要請があったが、これを拒否したところ広告掲載を見送るとの連絡があったことを明かしている。
さらに翌週の9月4日、「文春」「新潮」とも、朝日新聞の広告拒否の対応を含め、さらなる朝日批判キャンペーンを大々的に掲載したが、朝日新聞は今度は両誌の広告を掲載したものの、一部文字を黒塗り、伏せ字にして掲載するという処置をほどこした。
たしかに“日本を代表する言論機関”を自負する朝日新聞が、広告出稿の契約をしている出版社の週刊誌に対して広告を拒否するというのは大いに問題だろう。黒塗り、伏せ字にいたっては、戦前の“事前検閲”や“言葉狩り”さえ想起させる。
だが、こうした行為をしているのは朝日新聞だけではない。他の新聞社も数々の広告拒否・改ざん問題を引き起こしてきた。