唐揚げも「植物性タンパク」でカサ増しされることが一般的だ。
「まず生の肉に『植物性タンパク』『リン酸塩』その他の調味料を注射してカサ増しします。『植物性タンパク』は肉が8割だとしたら2割ほど入ります(略)水増しした商品は外食産業にとどまらず、家庭の中にも入り込んでいます。冷凍食品の唐揚げは、カサ増しされているものがほとんどです」(同書より)
「業務用ではトンカツやエビフライ」にもこのカサ増しの手法が用いられ、さらに重ね揚げをすることで、2倍程度の大きさに見せかけるケースもあるという。
しかも、安いラーメン屋さんの餃子は「植物性タンパク」だけで、「肉がまったく使われていないものもあります。しかし『餃子には肉を入れなくてはいけない』という法律などどこにもない。『肉入り餃子だ』とお客さんが勝手に思い込んで食べてくれればいいのです」(同書より)という。
外食の肉メニューといえば、05年にステーキのチェーン店「フォルクス」が成型肉を「ステーキ肉」として提供していたことで、公正取引委員会から排除命令を受け、ニュースになったこともある。成型肉は骨のまわりから削り取った端肉や内臓肉を結着してつくったもので、外食は表示義務がないために、こういった事態が起きたのだが、いまだ無表示のまま成型肉を使ったステーキを提供する外食や「植物性タンパク」でカサ増ししたハンバーグを提供する外食が横行しているのだ。13年に発覚した高級ホテルでの食品の表示偽装問題は、氷山の一角に過ぎないことがわかる。
こうしたカサ増し食品の氾濫は「戦後の貧しい時代の名残」だという。
「食料のない時代、日本人は食べ物の切り落としでもクズでも大事に食べるために、一生懸命知恵をしぼりました。そうやって生まれた食品のひとつが『プレスハム』『チョップドハム』です。プレスハムというのは端肉、クズ肉を寄せ集めて、つなぎに『植物性タンパク』やデンプンなどを入れ、ギュッと圧力をかけて成型したものです。肉が高級品だった時代、少ない肉に大豆の搾りかすやデンプンといった『安いもの』を探して混ぜて、一生懸命膨らませて食べようとした、いじましくも切ない日本人の知恵だったのです」(同書より)
しかし、食べられない時代の知恵だったはずのものが、いまは外食産業が儲けるため、値段を下げるための悪知恵に『転用』されているのが現実なのだ。
昨日、あなたが肉だと思って食べたものは実は「植物性タンパク」だったかもしれない!?
(河内保雅)
最終更新:2014.08.28 02:21