『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。』(河岸宏和/東洋経済新報社)
ハンバーグにミートボール、唐揚げといった外食の人気肉メニュー。だが、その多くは実は肉ではないのかもしれない!?
『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。』(河岸宏和/東洋経済新報社)によれば、外食の多くの肉メニューには「植物性タンパク」によるカサ増し肉が使われているというのだ。
「植物性タンパク」とは、大豆や小麦などを原料としてタンパク質を抽出したもので、食品添加物ではなく「食品」だ。
「ハム・ソーセージをはじめ、数多くの食品の加工に用いられ、形状は粉末状、粒状、繊維状などさまざまです。『植物性タンパク』は肉よりも安いので、入れれば入れるほど歩留まり(生産・加工の際の原材料に対する出来上がり製品の割合)が上がり、利益も上がります。肉の重量に対して50%ほど入れることもあります。『50%も「混ぜもの」を入れたら、それは肉ではない』と思われるかもしれませんが、50%は業界では当たり前のことです」(同書より)
ただし、50%となれば、「へにゃへにゃとした食感で肉に味もなく、妙においしくない」ものが出来上がる。
「『植物性タンパク』を大量に入れると、コストは下がるものの、味が薄まってしまいます。だから(略)『肉エキス』や『調味料(アミノ酸等)』などさまざまな添加物で味を補強するのです。あるいはソースを濃い味にするなど工夫する」。また着色料で肉らしい色に仕上げるのだという。
こうした「混ぜもの」をめいっぱい入れた料理の代表作が、大手ファミレス・チェーン店で提供されているハンバーグだ。素人目にはその違いがわかりにくいが、ビーフ100%か混ぜもの50%か、その見分け方は、メニューを見ればわかるという。
「すぐ近くにあるサーロインステーキには『US産ビーフ』、ビーフハンバーグステーキには『オージー・ビーフ使用』と書いてあるけど、ハンバーグには何も書いていない」場合には混ぜものが使われている可能性が高いのだ。
しかも、ハンバーグの肉は牛肉でない場合もありうるという。
「たしかにハンバーグにも牛肉が一部は使われているだろうけど、そのほかにブラジル産鶏肉、アメリカ産豚肉も混ざっているかもしれません」(同書より)
かつて食肉加工会社勤務時代には、自分で実際に『植物性タンパク』を使って製造をしていたという著者も驚くのは、「肉の重量に対して50%」どころか100%混ぜている、ある食べ放題チェーンSのケースだ。
「つまり肉と同じ量だけ混ぜ、肉の量を2倍に見せかけているということです。ここまで混ぜ込んだものは、もはや『肉団子』とは呼べない。『大豆タンパク団子』『豆腐団子』と呼ぶべきでしょう」(同書より)
この食べ放題チェーンSでは「成型肉はもちろん使い放題。肉団子、ハム・ソーセージなど肉製品のほとんどが『植物性タンパク』を使って」いたという。
まさに「植物性タンパク」の食べ放題状態なのだ。