★第4位 百田尚樹「中国だったらとっくに縛り首です」
「WiLL」2014年9月号「慰安婦像に紙袋を! 大炎上対談」(対談相手・テキサス親父ことトニー・マラーノ)
■反日をディスるあまり本音が…百田センセイは日本を中国にしたがってる?■
そのテキサス親父と対談をして大絶賛した百田尚樹センセイ。これまでも「人間のくず」「クソ貧乏長屋」などさんざん問題発言で騒がせてきたセンセイが今さら何をいってもあまり驚かないが、久しぶりに「おっ」と思ったのがこの発言だ。
「WiLL」2014年9月号のテキサス親父との対談で、百田氏は「国内の反日勢力をきちんと糾弾し、罪を認めさせ、そのうえで本丸の韓国と対峙」するとして、日教組や朝日新聞などをいつものごとく「売国奴」「国賊」「ガン」と口汚く罵っていたのだが、ついでに従軍慰安婦問題を国連人権委員会に持ち込んだ戸塚悦郎弁護士に言及。その際に「とんでもない国賊で、中国だったらとっくに縛り首です」と発言したのだ。反中であるはずの百田センセイが共産党一党独裁支配の中国の政治弾圧を持ち出す……最初はそのパラドックスに思わず笑ってしまったのだが、しかし、よく考えてみたら、これこそセンセイの本質ではないだろうか。センセイはおそらく中国共産党と同じ、「国家はひとつにまとまるべきで、国家の利益に反する人間は排除すべき」という全体主義的思想の持ち主なのである。
こういうと、百田信者のみなさんから「ただのジョークなのに、反日メディアが揚げ足取りをする」と反論されるかもしれないが、いや、本質はけっこうディテールににじみ出てくるものなのよ。
たとえば、以前、百田氏はTwitterで「すごくいいことを思いついた!もし他国が日本に攻めてきたら、9条教の信者を前線に送り出す」とトンデモなツイートして物議をかもしたことがあった。このとき、“9条教の信者は戦いたくないんだから、それって皮肉やギャグになってないんじゃないの?”と不思議な感じがしたのだが、そのツイートも皮肉やギャグでなく、9条信者は敵弾に撃たれてとっとと死んでしまえというただの異分子粛清発言だったとすれば、納得がいく。
「売国奴」「国賊」「ガン」といった作家とは思えないステロタイプなレッテル貼りをやたら多用するのも同じだろう。百田センセイは意外と本気で、中国や北朝鮮、そして戦前の日本のように、国益に反する者、国家の方針にさからう者を処刑してしまいたいと思っているんじゃないんだろうか。
★第3位 豊田有恒「(韓国は)ほぼ2000年のあいだに960回も異民族の侵入を受けている」
『どの面(ツラ)下げての韓国人』(祥伝社新書/2014年)
■出典がよくわからなくても気にしない? 嫌韓本の〈ケンチャナ〉精神!■
SF作家で、かねてから古代日本や韓国の歴史に関心がある豊田氏。最近の嫌韓ブームに合わせて批判的な論調を強めているのだが、とびだした発言がこれ。
「日本人は、言動がぶれることを嫌う性向がある。ところが韓国では言動がぶれても、お得意の〈ケンチャナ(かまわない)〉で、あっさり済んでしまうことが多い。なにしろ、ほぼ2000年のあいだに960回も異民族の侵入を受けている。これまで、確かだと思えたことが一晩でひっくりかえってしまったことなど、日常茶飯事である」
ホントに「2000年のあいだに960回も異民族の侵入も受けている」のか!? 詳しく調べようと12年に出た豊田氏の『本当は怖い韓国の歴史』(祥伝社新書)を読んでみると、「さる人が数えたところ、『三国史記』から近世にいたるまで、『高麗史』、『東国通艦』などの史書には、過去九六〇回も異民族が侵攻したことが記録されている」とあった。「さる人」っていったい誰? 一体どうやって数えたの? 疑問はつきないが、実はこれ、韓国人がお国自慢のときに話す数字のようだ。たとえば、『韓国人に教えたい日本と韓国の本当の歴史』(黄文雄/徳間書店/2013年)にも、「韓国人がよくお国自慢として口にするのが、『朝鮮は今まで1000回も侵略されたものの、全て撃退してきた』というものです」とある。つまり、豊田氏は韓国人自慢の数字を使って嫌韓的な主張を展開してしまったということだろうか。でもま、こういう厳密な指摘は、豊田氏にとっては〈ケンチャナ〉だろう、きっと。