一体何を言っているのだろう。いまこれだけ問題になっているのは、国家公務員倫理規定で禁止されている利害関係者の接待を受けていたからであって、金額がいくらだろうと違法接待であることに変わりはない。「7万円ではなく3万円分しか食べていない!」って、そんなことを主張しても何の意味もないのだ。
これまでも田崎氏の政権擁護は「アクロバティック」と揶揄されてきたが、擁護にすらなっていない、論外の話をさも重大事のようにしたり顔で語る田崎氏……。もはやジャーナリストの看板を下ろすべき発言だが、しかし、田崎氏の擁護ははしご出演した『ひるおび!』(TBS)でも飛び出した。
本日放送の『ひるおび!』では、田崎氏はまたも「7万円ではなく3万円分しか食べていない」話を披露したのだが、その際、「もちろん(接待は)東北新社に下心があってやっていること」と言及しながらも、こんなことを言い出したのだ。
「僕はね、今回の問題、より大きな問題は、どうも旧郵政省の人たちと業界の関係がね、ちょっとルーズになっているんじゃないかなって気がするんですよ。で、あのー、放送行政って言葉があるように、行政が強い力を持ちすぎているんですよ。だから旧郵政の人たちに業界の人たちは接近しようとする。旧郵政の人たちはそれを受け入れるという関係で成り立っていったように思うんですね。だから根本原因はやっぱり、放送行政そのものを、もうちょっと改めていかないと。規制緩和しないと(いけない)」
おいおい。さんざん指摘されているが、総務省のあれだけの高級官僚を呼び出して接待をおこなうことなど、普通の事業者には到底無理な話であり、実際に官僚たちは「東北新社からしか接待を受けていない」と述べている。つまり、「菅首相の息子」がいるから官僚たちが東北新社の接待に応じてきたことは明々白々だ。
しかも、『モーニングショー』では、田崎氏は「菅さんが総務省に圧倒的な力を持っている」「そのなかでご長男から誘われたとすれば、それは行くだろうと。総務省内におけるほかの政治家とはぜんぜん違う」と言っていたのだ。
なのに、その問題を田崎氏は語らず、「総務省の旧郵政官僚と業界との関係がルーズになっている」「根本原因は放送行政」と主張し、さらには言うに事欠いて「規制緩和すべし」と訴えたのである。
「菅首相の長男だから忖度した」という根本的な問題をすり替えたのも酷いが、注目すべきは「規制緩和が必要」という田崎氏の主張だ。現在、総務省が東北新社のBS・CS事業を特別優遇してきたのではないかという贈収賄の疑いが濃厚になっているが、田崎氏は東北新社が優遇されたことも「規制緩和」だとして正当化しようとしたのではないか。