しかも、夏野氏が問題なのは、こうした民主主義否定、独裁政治肯定につながりかねないエリート主義丸出しの人物が「ニコニコ動画」などの動画サービスniconicoを提供するドワンゴというメディア企業の社長である、ということだ。
じつは、夏野氏がドワンゴの代表取締役社長となった際から、“ニコニコ自体が完全な「安倍応援団メディア」になってしまうのではないか”という危惧があった。そもそも、安倍首相にとってもニコニコ動画は自分の支持者が多く集う“ホーム”だと考えているふしがあり、実際、「ニコニコ超会議」にも積極的に参加し、新型コロナをめぐっても、ニコニコ動画とヤフーによる「安倍首相に質問!みんなが聞きたい新型コロナ対応に答える生放送」というネット番組に生出演した。
この権力との距離がない“蜜月関係”自体、国民に代わって権力の監視を担うメディアとして不健全なものだが、そこにきて、そのメディア企業の社長が、権力監視の役割を放棄するどころか、権力監視という当然の行為をおこなう国民に対し、「一般ピープルの目線で見るのは大間違い」「批判をしている奴は選挙権を返上しろ」とまで言い出す──。このようなスタンスを隠さない社長のもとにメディアが運営されていることは、恐ろしいとしか言いようがない。権力とベッタリのメディア企業の社長こそ、「経営権を返上しろ」と言われるべきだろう。
(編集部)
最終更新:2020.08.23 11:24