『news23』で放送された雅子さんへのインタビュー
学校法人「森友学園」を巡る公文書改ざん問題で自殺した近畿財務局元職員・赤木俊夫さんの妻・雅子さんが、国と財務省・佐川宣寿元理財局長に損害賠償を求めて訴えた裁判の第1回口頭弁論が、きょう、大阪地裁で開かれた。
雅子さんは法廷で自ら陳述書を読み上げたが、その内容は俊夫さんの無念を晴らしたい、真相を解明したいという覚悟がひしひしと伝わってくる迫真に満ちたものだった。
「夫が自ら命を絶った原因と経緯を明らかにし、夫と同じように国家公務員が死に追い詰められることがないようにするため、そして、事実を公的な場所で説明したかったという夫の遺志を継ぐため、国と佐川さんを訴えるところまで進みました」
雅子さんはそう切り出したあと、夫の俊之さんが改ざんに抵抗しながらも強要され、死を選ばざるを得ないところまで追い詰められた経緯を説明し、夫の自殺後、真相が知りたいという自分の思いを国が裏切り続けてきたことを批判した。そして、財務省や安倍首相にこう迫ったのだ。
「安倍首相は、2017年2月17日の国会で、安倍首相や安倍昭恵さんが森友学園の国有地払い下げにかかわっていたら総理大臣も国会議員も辞めると発言しました。
財務省秘書課長は、2018年10月、私に対して、『この首相の発言によって野党が理財局に対して資料請求するなど炎上したため理財局は改ざん前の文書を出せなかった。その意味で、首相の発言と改ざんは関係がないとは言えない』と言いました。
安倍首相は、自分の発言が改ざんの発端になっていることから逃げているのではないでしょうか。安倍首相は自分の発言と改ざんには関係があることを認め、真相解明に協力して欲しいと思います。安倍昭恵さんも森友学園への国有地売却の関係を明らかにしてほしいと思います。
上司も、上司の前任者も『裁判になれば本当のことを話します』と私にハッキリと言いました。この裁判では、前任者には安倍昭恵さんと籠池夫妻のいわゆるスリーショット写真がどのように国有地の取引に影響したのかを、上司には国有地値引きと決裁文書改ざんをめぐり近畿財務局の中で何が行われたのかを話して頂きたいと思います」
さらに、雅子さんは裁判所に対してもこう求め、陳述を終えた。
「訴訟の手続きは私には難しくてわかりませんが、ぜひとも夫が自ら命を絶った原因と経緯が明らかになるように訴訟を進めてください。夫が作成したファイルを含めてできるだけたくさんの資料を集め、できるだけたくさんの人の尋問を行って事実を明らかにしてください。そしてその上で、公正な判決を下してください。よろしくお願い致します」
メディアやジャーナリストが御用化する中、強大な権力を前にひるまず、真相解明を迫る雅子さんの毅然とした姿勢には頭が下がるが、雅子さんはおそらく最初から、こうした覚悟があったわけではない。覚悟をもたざるをえない状況に追いやられ、やむにやまれず立ち上がったのだ。
そのことがよくわかったのが、昨日14日の『news23』(TBS)で放送されたキャスターの小川彩佳による雅子さんへのインタビューだった。
小川は7月3日を最後に産休に入って番組を休んでいたが、このインタビューのために、一時的に復帰したのだという。その小川の姿勢が伝わったのか、雅子さんはインタビューで、当時の俊夫さんの様子はもちろん、これまであまり語っていなかった自分の心情の動きについても、克明に語っていた。